やってみて得た すごい 教訓− [to home]
 造形について、ものの本やらなんやらで色々と耳ではわかっていたことや人の作品を見ていてこういうところは気を付けたいとか、こうすればうまく行くのではないか?といった想像上の知識はありましたが、実際に手を動かしてみると予想と違っていたりうまく行かなかったりしたことが多々ありました。 そんな経験を元に、実際にやってみて得た教訓を自分のためにもつづっていきたいと思います。これは私自身に当てはまることで必ずしも全ての方に共通することではないと思いますが、同じ悩みを抱えている方の解決の糸口になれば、と思います。参考程度にお読みください。

頭から作る
 フィギュアのバランスは頭の大きさを基準にして決めていきます。いわゆる「○頭身」というやつです。頭の大きさは腕の長さや脚の長さ、関節の位置などを決める基準にもなるので、最初に頭の大きさを決めておくことは非常に重要です。 また、腕や脚の長さを変更するのは簡単ですが、ボディに合わせて頭の大きさを変更するのはとても大変です(^^;。作業効率を考えても、頭から作っていくのが順当と言えるでしょう。
 素体を作るときは腕の長さは何頭身分か?胴体は何頭身分か?脚は何頭身分か?などを考えてながら作っていきます。恵那の時はストローを使ってゲージを作りましたが、基準となる長さのものを用意しておくと作業がしやすいですね。 設定画や全身像を見つけてきて、そのキャラクターのボディバランスを投射したものを素体とします。その後で強調したい部分などを自分なりに調整してデフォルメしていくとよいと思います。私はそのまま作ってしまいますが(笑)。

バランスは素体のうちに詰めておく
 フィギュアのポージングなども素体のうちに十分詰めておきます。「服を着せればなんとかなるだろう」ということはありません(^^;。素体でバランスがおかしいものは服を着せてもしっくりした完成形にはなりません。 結局、後で微調整を繰り返したりして落としどころを探すのに苦労することになります。ですから、修正が楽な素体状態でしっかりバランスを決めておくことが重要です。
 カンナさんの時もバランスがきちんと取れていないまま進めてしまい、いつまで経ってもしっくりこない悪循環にはまってしまいました。これは本当に苦しくて辛い作業の連続でした。 バランス取りがうまくいかないものだから、服を作ったりして誤魔化そうとしたりもしましたが無駄でした。それどころか、服を着せてから修正するのはもっと大変でした(;;)。 そんなことにならないように、この教訓だけはしっかり守っていきたいと肝に命じている次第です(^^;。

バラバラに作らない
 カンナさんを作り始めた頃「パーツ分割をいつやるのか?」という質問を受けたことがあります。私は「初めから分割を考えて作る」と答えたのですが、これが大失敗でした(^^;。カンナさんの場合、海洋堂のサクラ大戦シリーズのキットをお手本にしたのですが、パーツ分割がすでにされていたものを見ていたので「同じように作ればいいだろう」という先入観がありました。 実はこれは大きな落とし穴であり、危険なので真似をしてはいけません(笑)。
 初めはパーツ分割などは考えず、まずはトータルバランスを考えた造形に専念しましょう。これが吉です。元が2次元とはいえ、人物を作るわけですからパーツ別にバラバラに作らないで一連の立体として作った方がバランスよく仕上がります。これが大原則だと痛感しました。パーツ分割は素体が仕上がった時点でやればよいと思います。スカルピーは加熱した状態ならばナイフで容易に切断できます。 一度焼いて熱が完全に冷める前に作業をすれば、無理なくパーツ分割をすることができます。

金属製の芯は入れない
 スカルピーを使った造形をする場合、アルミ線などで芯を作り、それにスカルピーを盛りつけていく方法がよく紹介されていると思います。カンナさんの時もこの方法を取りましたが、残念ながら、加工の途中で芯が障害になる場面が何度もありました(^^;。 ま、カンナさんの場合はバランス調整を何回も繰り返したせいもあるのですが、削っていくうちに芯が出てきてしまったり、ナイフでカットしたいのに芯があるのでノコを使わないといけなかったりと、随分邪魔になりました(^^;。下手っぴだから仕方ないんでしょうが返って大変になってしまった思い出があります。 よって、今の時点では金属線の芯は使わない、というスタンスでやっています。針金の状態で出来上がりをイメージできる想像力があれば問題ないんでしょうがね〜。なかなかそこまでたどり着けそうにありませんです。プリモなら多少細長いパーツでも形が崩れないので芯がなくても大丈夫です。 大物を作る場合は事情が変わってくるのかもしれませんが(^^;。

胴体のポイントは、鎖骨・ミゾオチ・おへそである
 胴体を作るときに基準となるポイントのことです。鎖骨の位置は首の始まりとなる位置ですが、鎖骨から股までの長さを3等分した位置にミゾオチとおへそがくるようになっています。作家によって多少のズレはあるのかもしれませんが、概ねこの配置でハズレはないかと思います。 ミゾオチはバストの位置を決める基準にもなりえますから、ここを抑えておくことは結構重要だと思います。ミゾオチからバストのアンダーラインを描くとそれなりのいい形ができるんじゃないかなぁ(^^;。違うかな?(子供ディーラーなのでよくわからない/笑)
 ちなみに胴体のくびれの位置は肘の位置とほぼ同じになります。くびれから上は肋骨があって比較的変形しにくい領域ですね。ポーズを付けるときに考慮に入れておくといいかもしれません。

一番前にくるのはミゾオチのちょっと下辺り
 これは直立に立たせるときのポイントです。横から見たときに胴体のどの部分を一番前にしたらいいのか色々と試してみたところ、ミゾオチの少し下辺りをトップに持ってくるのがいいことがわかりました。 カンナさんを作ったときに、重心の位置を決めるのに散々苦労したけど結局決まらなかったのですが、恵那の時はこのポイントを抑えたことできれいな立ち姿になってくれました。横から見ると脚の位置は身体の中心線より後ろにくるようになっているのが意外でした。 鳥のような立ち方をしているイメージです。つま先があるので脚は結構後ろにあるんですね。自分では気付かないことですが、つま先って体重支えてるんだなぁとこんなことから実感してしまいます(^^;。
 バストが大きいキャラを作る場合はこの限りではないと思いますが、身体のフレームとしてはこのバランスできれいに立つはずです。なので、身体の重心が取れてから胸を盛るようにしましょう。 カンナさんの場合も胸を先に盛ってしまったので、最初の頃はなんとなく胸の張りがない上半身になってしまいました。

くるぶしの位置をきちんと決めておく
 これはふくらはぎのラインのポイントです。カンナさんの時に図解(笑)しましたが、ふくらはぎのラインはくるぶしに繋がっているのでくるぶしの位置が決まらないとふくらはぎのカーブが作れないんですね。 しかも内側と外側で高さが違いまして、これがふくらはぎのカーブの曲率にも影響しているので結構重要なポイントだと考えます。
 また、くるぶしを決めると踵までのラインも作りやすくなります。足首の位置が決まりますし、アキレス腱もくるぶしで挟んで作っていけばよいので、かなり足らしい足を作ることができます。

腕は肩と一緒に作る
 腕を作る際のポイントです。腕はどこから腕なのか?などと考えるとついついTシャツの袖の縫い目辺りを分割線と考えてしまいますが、素体を作る場合、腕は肩ごと作るのが吉です。 最終的に分割するのはどこでもいいのですが、造形をするときはランニングシャツのラインで胴体と肩+腕とを分割して作っていきます。ちょうど鎖骨と肩の継ぎ目くらいで分割する要領です。カンナさんの時は服の袖のところで分割してしまったため、腕がどこから生えているのか、関節がどこにあるのか、腕の長さってどこまでなのか?をかなり見失ってしまってました。 作っていてとても辛かったです。恵那の時は肩から作ったのでスムーズにできました。しかも、肩ごと作ることによって背中のラインもきれいに作ることができました。肩と胴体を別々に作ることによって肩胛骨の位置が決めやすくなり、背骨の位置と肩との前後の位置関係が把握しやすくなったのです。作っていて「ああ、なるほど」と思ったくらいでしたから、これは結構うれしいことだと思います(笑)。

口の両端からあごのラインを作る
 これは「やっぱり すごい プロフェッショナル」に入れるべきだとは思うのですが、下唇から顎にかけての造形のヒントです。顔を作るときに鼻筋を中心として山形に左右の顔を作っていくのがやりやすいと思います。 が、それだけで通してしまうと顎の形がなんとなくやりにくくなってきます(この辺は具体的な表現ができないんですが/^^;)。なんというか、下唇から顎にかけてのラインがきれいに決まらないんですね、横顔は特に。 で、顎を作るときに口の両端と顎の先で三角形を作るつもりで造形すると、楽にきれいなラインを作れることがわかりました。頬の曲率と顎の曲率が、この三角形の部分で変わっているというか、そういう意識を持つということです。 この三角形を意識することで、下唇の下を彫り込むことができ、唇の厚さも調整することができるようになります。口の形が気に入らなかったり。なんとなくおちょぼ口になってしまうなぁという場合は、このチェックポイントを試してみてください。

型抜きを考えた造形する

パーティングラインをプロットしてから型取りする

デフォルトでベースを付ける
 イベントで当日版権を取得するアイテムについては、ベースを付けることをオススメします。版権アイテムには版権元のコピーライトロゴを刻印しなくてはいけません。 ロゴには版権元が指定した文字列を使うのですが、この文字列が判明するのがかなり遅い時期になります。 私の場合、完成品の作成に時間がかかってしまうので「ロゴ判明」→「刻印」→「型作成」→「複製」→「完成品作成」を一気にこなすことができません(^^;。 そこで、コピーライトのロゴはベースに刻印することに決めてしまい、キットの複製を先行して行うことにしています。ベースの型取りはパーツに比べたら簡単なのでロゴが判明してから作業しても間に合います。 ただし、本申請が不許可の場合は無駄になってしまうのでリスクが伴います。この辺はご了解願います(^^;。


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