Q モーターパラのライセンスを取得するにはどうすればいいの?

A  モーターパラグライダー(以下MPGと略します)を始めるにあたっては、普通のパラグライダー(以下PGと略します)と同じように、スクールに通って練習しながらライセンス取得に必要な知識と技能を修得します。
 MPG専門のスクールもあるし、PGとMPG両方の講習を行なっているスクール(もちろん講習内容や場所は別々ですが)もあります。

 さて、PGのライセンスにはJHFという団体の発行するライセンスがあることは別の項で書いたのでご承知のことと思います。
 そしてMPGにも同じようにライセンスがあります。 ただしPGと違って、ライセンスを発行している団体が二つあります。

 ひとつがPGと同じようにJHFが発行する「パラグライディング補助動力技能証」、もうひとつがFLMの発行する「クラス1およびクラス2技能証」です。



 ここでちょっと難しい組織体系の話をしましょう。
 まず、二つの団体とも公式な組織で、世界の航空スポーツを全て統括するFAI(国際航空連盟)の正会員であるJAA(財団法人日本航空協会)の下部組織です。

 JHF(社団法人日本ハンググライディング連盟)は文部大臣に公益法人として許可された団体で、日本のハンググライダーとパラグライダーを愛好する人々(フライヤー)を統括する団体です。主な事業には技能証の発行、普及振興事業の推進、指導員の養成、各種競技会の主催等があります。
 JHFでは、MPGにおけるエンジンの推進力はあくまでパラグライダー本来の滑空飛行を補うためのものであり、補助的に動力を利用して上昇飛行や出発高度の獲得及び飛行高度の保持を行なうものと位置づけています。

 一方、FLM(フットランチドマイクロライト部会)はJML(日本マイクロライト航空連盟)のMPG部門として設立されました。
 FLMにおいては、MPGはあくまで普通の航空機と同じように、最初から最後までエンジンの推進力を使用したフライトをするものとして定義されています。 つまり上昇気流を利用してのフライトではなく、エンジンの動力を積極的に利用したフライトが主目的というわけです。
 このためFLMにおいてはMPG(モーターパラグライダー)という呼び名ではなく、PPG(パワードパラグライダー)という用語が使われています。

 ただし使う道具は同じですし、エンジンの推進力をどう使うか、その定義の仕方が異なるだけですので、このページでは余計な混乱を防ぐためにエンジン付きのパラグライダーはすべてMPGと呼ぶことにします。

 以上のようにMPGには二つの公式な団体があって、それぞれ違うライセンスを発行しているためにややこしい感じがしますね。
 でも、JHFでは動力を積極的に利用したフライト(例えば地上すれすれを飛ぶローパス飛行)が禁止されているわけではないし、FLMでは滑空飛行(例えば上昇気流を利用したソアリング)ができないわけではありませんので、あまり気にする必要はありません。(ちなみに私はJHFの補助動力技能証の方を持っています。)



 さてさて、前置きが長くなりました。
 以上のようにMPGのライセンスはJHFが発行するものとFLMが発行するものの2種類あり、スクールによってどちらのライセンスが取れるかの違いがあります。
 FLMのライセンスを発行するスクールが多いような気がしますが、どちらであってもMPGを楽しんでいく上で問題はないと思います。
 なお、JHFまたはFLMのどちらにも属さずそのスクール独自の技能証を発行(当然そのスクール内でしか通用しません)していたり、またインストラクター資格者が常駐せず、単なる「愛好者の集団」のような感じで運営されているスクール(と言うよりクラブ?)があるようです。これから始められる方はこの点を考慮し、JHFまたはFLMの公認インストラクターのいるスクールを選択されることをお勧めします。

 ではFLMライセンスを例にとって、説明しましょう。
 FLMの場合、PGにおけるパイロット技能証(P証)に相当するものとして、クラス1とクラス2の二段階があります。
 大まかな定義は、
 クラス1は、スクールやクラブなどによって管理されたエリアで、自分の判断によりフライトできるもの。
 クラス2は、更に高度な技能を持ち、数十キロにも及ぶクロスカントリーフライトも自分の判断で行なえる技術をもつもの。(だからといって、どこへ飛んで行っていいというわけではありませんが。 なおこの資格は、MPGの競技会に出場する場合などに必要です。)

 となっています。実質的にはクラス1を取得すれば、一人前のMPGパイロットとして認められることになります。

 大まかな目安として、クラス1を取得するまでに要する期間は半年〜1年くらい、講習費用は10万円程度といったところです。





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