三鷹の跨線橋 (東京都三鷹市上連雀)







 雑誌「東京人」2005年3月号の特集記事に「ザ・ベスト跨線橋」というのがあり、そこに紹介されていた都内の跨線橋で個人的にグッときたものの一つが、この三鷹駅西側にある三鷹電車車庫跨線橋です。昭和4年竣工というこの橋からは、鉄道の停車場の構内を、楽しく鑑賞できます。
 上記記事中で紹介されていますが、太宰治の「人間失格」の冒頭に、跨線橋についてこう書かれています。
「自分は停車場のブリッジを、上って、降りて、そうしてそれが線路をまたぎ越えるために造られたものだという事には全然気付かず、ただそれは停車場の構内を外国の遊戯場みたいに、複雑に楽しく、ハイカラにするためにのみ、設備せられてあるものだとばかり思っていました。」

 確かにこの橋は、電車を鑑賞するにはうってつけです。おまけに橋自体も、レールで造られた構造体と、そこかしこに浮かぶ錆、かなり急な設計の階段など、昭和の雰囲気を感じさせるイイ味を出しています。
 玉川上水沿いは夏は木陰で涼しく、冬は強い北風を遮ってくれ、おまけに直線で効率よく距離を稼げるので、東京西部に向かうときによく走ります。三鷹駅はその玉川上水の上にあるので、500mほど足を伸ばすだけでこの橋に辿りつきます。
 走って疲れたときも、人生に疲れたときも、この橋に登って電車を眺めてみるのもいいかもしれません。

 恥の多い生涯を送って来ました、から... (2007/8 撮影, 2009/3 記)





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