・SIGMA 14mmF3.5 MF

魚眼レンズではない、普通?の広角系のレンズとしては、もう超々広角と言っていいくらいのレンズです。
14ミリという焦点距離は、私の知る限り一般的に入手できる35ミリ一眼レフ用レンズとしては最短です。画角は魚眼レンズにはかないませんが、そのかわり魚眼レンズのような歪曲はありません。
(ただし、これはあくまでフィルム面に対して平行かつ平面上の被写体を写した場合の話です。立体的なものを写した場合、広角系レンズの特徴としての歪みは大きくなります)
つまり魚眼レンズとは違う点として、例えば地平線なんかは魚眼では大きくタル型に歪曲しますが、このレンズでは見た目と同じように直線として写ります。おなじアングルで写したとしても、魚眼とはまた違った描写になります。
画角は約114°です。これだけ広い視野を持つレンズですから、その描写はダイナミック。使う前は各種収差のオンパレードなのではないかと思っていましたが、意外にもシャープで細かい描写には驚きでした。空撮にはかなり使えそうなレンズです。
空撮だけでなく普通に地上から、例えばライズアップしているパイロットの姿を撮ったりするのにも、超広角レンズ特有の遠近感を利用した広がりのある写真が撮れそうです。
ただしこの場合、ぶつかる位まで近づかないと被写体を画面いっぱいに写し込むことができませんので、気の合った仲間同士で打ち合わせて撮影すると良いかと思います。最短撮影距離が18cmと小さいので、思いっきり被写体に寄っての撮影時にも威力を発揮しそうです。
しかし逆光時のフレアやゴーストは、かなり顕著に出ます。また周辺光量不足も目立ちますので、これらを最小限に抑えるために、ある程度絞って使う必要があると思います。
とりあえず周辺光量のチェックのために、順光の状態で夕暮れの空をテスト撮影した結果を下に並べてみます。(フジクロームベルビア使用)
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F3.5 | F4 | F5.6 |
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−撮影条件−
レンズ:SIGMA 14mmF3.5 カメラ:PENTAX Z-1P 絞り優先自動露出モード 三脚使用 ピント∞固定 |
F8 | F11 |
写真を見ればわかるように、絞り込むほど周辺光量の落ち込みが少なく、改善されていきます。少なくともF5.6、欲を言えばF8かF11まで絞って使いたいところです。
どの程度まで絞れるかは、使用するフィルムやシャッター速度、撮影する被写体などに依存しますので、カメラブレを起こさない程度で、なるべく絞れる設定になるようにすればいいと思います。
このレンズの外見上の特徴は、何といってもその大きく飛び出した前玉にあります。その水晶玉みたいな第1レンズが、超広角レンズを主張しているようです。
しかしただ眺めているぶんにはいいのですが、これだけ前玉が飛び出していると保護用フィルターの類は取り付けられません。従って傷を付けないよう、取り扱いには充分注意する必要があります。
撮影時以外は、必ず付属のレンズキャップを被せておくようにしましょう。
ちなみにシグマ製のこのレンズ、各カメラメーカーに合わせたAF用のマウントが用意されているのですが、なぜかペンタックス用だけはAFのマウントが用意されていません。しかし(カタログには載っていませんでしたが)、MFならペンタックスKAマウント用も製造されていたため、私はそれを購入しました。
なお1998年秋にシグマから新モデルの14mmF2.8EXが発売されました。レンズがひと絞り分 明るくなったのを始めとして非球面レンズの採用、キャノン・ニコンマウントはピント駆動に超音波モーターを内蔵するなど、よりハイスペックになりました。写りもかなり良いらしいです。(持ってないのでわからないッス。)
ただその代わり、レンズ自体がひとまわり大きく重くなり、価格も倍近くなりました。(旧モデルの14mmF3.5が\75000,新モデルの14mmF2.8が\140000 )
後継モデルが出たため、旧モデル14mmF3.5は製造完了になってます。店頭での在庫を見かけることもなくなりました。 中古カメラ屋やオークションで探すにしても、ただでさえタマ数の少ない超広角系のレンズだし、自分のカメラと同じマウントである確率は多いものではありません。こりゃ見つけたら即 GETダ! )
(1999.2)
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