
カメラをノーズ付近に取付けて上前方から撮影すると、うつ伏せ姿勢で飛んでいる自分と、その下の地表の景色が見えます。空を飛んでいる感じを強調できて、私の好きな構図です。
しかし、ダブルサーフェスの機体だとシングルサーフェスとは違いキールが露出してないので、ノーズ付近にカメラを取り付ける場所がありません。
GoProHDのような小型軽量のデジカメであれば先に紹介したマグネット固定式でも何とかなりそうですが、高品質な静止画を撮るためにはレンズ交換式デジカメを使う必要があり、そうなるとマグネット式ではカメラ重量的に無理があります。
ひとつ考えられるのが、キールに延長パイプを金具・タイラップ等を用いて接続し、その先にカメラを取り付ける方法です。
しかしこの方法だと意外と高価なノーズコーンに穴を開ける必要があるので、そう手軽にはできません。また機体先端にパイプが突き出ることになるわけですから、ノーズクラッシュを考えると不安が残ります。例えば地面に激突した衝撃でカメラを壊すとか。いや、それだけならまだ良いのですが、セールを破いたりキールに損傷を与えたり、そして最悪の場合は壊れた延長パイプ部で重大な怪我をする恐れもあります。
なるべく簡単確実に、機体を改造することなく、しかもクラッシュ時にも安全な方法で、ダブルサーフェス機のノーズ部にカメラをつけられないか… と、考えた末に製作したのが、今回紹介する空撮器具です。
最大の課題となるのがカメラの固定方法。いろいろ思案した末に目をつけたのがノーズワイヤーです。写真のように2枚のアングル材〔A〕を使って、ノーズプレート近くのワイヤーを挟み込んでやるのです。2枚のアングル材は中央部をネジで固定し、両端内側には滑り止めとワイヤー保護を兼ねて1mm厚位のゴムシートを貼り付けます。この間にノーズワイヤーを挟んだあと、5〜6mmのネジ+蝶ナット〔B〕を使って締め付けます。(あまり強く締める必要はありません。蝶ナットが緩まない程度の力で十分固定できます)
ただし、ノーズワイヤーは飛行中でも常に強い張力がかかっているわけではないので、この固定方法だけではカメラが結構グラグラ揺れてしまいます。揺れ防止のためには、やはり機体のどこかに固定してやる必要があります。
私が用いているのが、ノーズワイヤーのタングを接続する凸金具部分を利用し、ここに器具先端〔C〕を差し込んでしまう方法です。加工の容易さとノーズコーンが傷むのを防止するために、この部分には柔らかいプラスチックを使います。
ここでのポイントは器具先端のプラスチック部〔C〕の厚さです。厚すぎるとタングとノーズコーンの隙間に入りませんし、薄すぎると遊びが大きくグラグラするうえ強度にも問題があります。丁度良い厚さのプラスチックを探すのは大変ですので、私は薄いプラスチック(使用しなくなったクレジットカードや会員カード類を流用)を接着剤(セメダイン・スーパーX)で重ねて使いました。
さらにカメラの上下方向の角度調整ができるように、カメラを固定する部分にもう1枚アングル材〔D〕を使い、ノーズワイヤーを挟んだカメラ側のアングル材と、さらに左右一組の蝶ナット〔E〕を使って固定します。アングル材〔D〕には厚紙製の基台〔F〕を接着しておき、カメラをこの上に載せて三脚ネジで固定します。左右の角度はカメラを動かして調整します。

使用方法は簡単。機体を組み終わったらこの空撮器具のプラスチック部〔C〕をノーズタングとノーズコーンの隙間に差し込みつつ、ノーズワイヤーも挟んで両側の蝶ナット〔B〕で固定するだけです。(写真にはありませんが、最終バックアップ用としてカメラと機体を紐で結んでおくのを忘れずに…)
前方にカメラを付ける場合はクラッシュ時の安全性を考慮する必要があります。
この空撮器具ならノーズコーン〜ノーズワイヤーよりも内側にありますので、ノーズクラッシュしても地面に激突させてカメラを壊すこともなく、体が前に投げ出されても、カメラに顔をぶつける恐れもまずないというわけです。
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