ヘルメット整備

4fightヘルメット

 私はイタリア・イカロ社製 4fight LT(フォーファイト・ロングテール)インテグラルヘルメットを愛用しています。個人的には世界一かっこいいヘルメットだと思っていて、ハングを始める前から、パイロットになったら必ずこのヘルメットを使うと決めていました。

 私の4fight LTのカラーは、現在のラインナップにはない、表面がゴム状のつや消し仕上げ(マットブラック塗装)です。実はこの塗装について、使い始めてから1〜2年経った頃、問題が生じました。
 もともと塗膜が弱くて傷が付きやすかったのですが、しばらくすると劣化して、表面がベタベタしてきました。所々剥がれているだけでなく、ベタベタした表面にゴミがくっつくので外観の汚さ倍増です。これは何とかしなければなりません。

 実はこのヘルメットに限らず、つや消し・マット塗装が経年劣化でベタベタするというのは避けられない運命らしく、ネットで検索するとバイク用のヘルメットや車の内装、カメラ等で同様の事例が見られます。


 劣化した塗装を元に戻すことはできないので、考えられる対処法は二つ。
 プランA:ベタベタの表面を何かで被って、ベタベタしなくする。
 プランB:ベタベタ自体を取り除いて、ベタベタしなくする。

 湿疹予防のベビーパウダーやゴム製品のくっつき防止に使うタルクのように、ベタベタしないように何か粉状のものをくっつければよいのでは?と思ったのがプランAの対処法です。

プランA
 私のヘルメットは黒なので、白い粉であるベビーパウダーは使えません。黒色の粉というとコピー機で使うトナーがありますが、さすがにそんなの振り掛けたらヤバイことになりそうなのは、やらずとも想像がつきます。

 そこで思いついたのが手芸用のフェルト。100円ショップで黒いフェルトを買ってきて、ヘルメットのベタベタに何度もくっつけて、フェルトの黒い繊維を”貼り付けて”ゆきます。

 そうしてベタつき解消ヘルメットを仕上げてみたのですが....
 それが左の写真なのですが…

 被っている本人以上に、ヘルメットの方が禿げ頭みたいな植毛状態になって、なんていうか、ベタつきは軽減されましたが、黒いフェルト繊維以外のゴミも混ざって余計に汚くなった気が....


 となると次はプランBです。
 私のヘルメットの場合、塗装を取るといっても実際に色がついている下地ではなく、その上に塗られたベタベタ部(マット調に仕上げるための半透明のゴム状の塗装)を取り除くだけなので、ヘルメットの色が落ちてしまうわけではありません。

 普段、油汚れを除去するのに私はスプレー式のパーツクリーナーを使っています。試しにこれをベタベタ表面に吹いてウエスで拭き取ってみましたが、全然取れません。エタノールをウエスに染み込ませて拭くと、少しは取れますがベタベタ面積が広いので日が暮れそうです。シンナーやベンジンならもっと強力に取れそうな気がしますが、下地の色も落としてしまうかもしれないし、けっこう大量に使うことになると思うので、シンナー臭で家族の顰蹙を買うか、ご近所迷惑になるか、あるいは自分がラリってしまうかのリスクがありそう。

内装を外した後
 他にもっと安全に、頑固なベタベタを取り除くに適したものといえば、換気扇のベタベタ油掃除に使う「マジックリン」があります。最終的にこの洗剤でベタベタを完全に除去することができました。

 まず作業効率を上げるため、ヘルメットを丸洗いできるようにバイザーや内装を取り外します。4fight LTはチンガード部を除き、内装が簡単に外せるようになってますが、さらに緩衝体の発砲スチロールも外してシェルだけにしました。緩衝体は後頭部の一部が接着材で付いているだけなのでそれを外し、シェルを少し広げながら抜き取ります。再度装着する場合は接着材の変わりにアクリルフォーム基材の強力両面テープを使うと良いと思います。
 無線用のスピーカーマイクセットを付けてる場合はそれも取り外します。

マジックリン
 そして風呂に入ったついでにマジックリンでヘルメットを洗います。泡タイプのものなら吹き付けてそのまま、液状のものならティッシュ等で湿布してしばらくマジックリン液に浸けたあと、あまり固くないスポンジでゴシゴシ洗います。

 1回ですべて落とすのは難しいと思うので、いったん洗剤を流してベタベタの残り箇所をチェックしながら、何度かに分けて作業すると良いでしょう。ついでに、取り外しにくいチンガード部分の内装や顎ヒモも洗っておきます。

 終わったら十分に水洗いし、1日ほど陰干しして、内装含めて乾燥させます。
 外した緩衝体やスピーカーマイク、内装・バイザーを付けなおして終了です。


 ベタベタが取れて綺麗になったのが下の写真です。つや消し・マット調ではなくなってしまいますが、マジックリンでベタベタは取れますので、困っている方は自己責任でお試しください。
 なお私のヘルメットでは、横にある銀色の部分にもマジックリンで落ちる塗料が使われているようでした。従ってスポンジでこする際は、銀色塗装に触らないように注意する必要がありました。

洗浄後ヘルメット




ページ最終更新:2014/8

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