ツーリングの魅力




 学生時代、現代の若者がみんなそうするように、私も自動車の免許を取りました。ただし、学生という身分で自分の車なぞ持てるはずもなく、しばらくはペーパードライバーとして過ごしました。社会人となって経済的に自立できるようになった頃、ようやく自分の車(中古の軽自動車)を手に入れ、行動範囲を広げることができるようになったのです。
 そうしてしばらく経った頃、以前 友人の4輪車北海道を旅した時に見たライダーたちの生き生きとした姿を思い出しました。バイクの荷台に山のような荷物を積み、炎天下の一本道をピースサインを交わしながら走り回っていた彼らの姿を。そして、自分もあのような自由な旅ができたらなあ、と思い、中型2輪免許取得を決意したのです。社会人になってから、2年目のことでした。

 バイクでの旅の利点とは何でしょう?
 単に移動するだけだったら4輪車でも事足ります。いや、4輪の方が荷物は積めるし、長距離走行にも向いています。それにもかかわらず何故わざわざバイクに乗ってみる気になったのか? それは、バイクでの旅というものには4輪では味わえない、旅の面白さを味わえることに気が付いたからなのです。
 確かに荷物は大して積めないし、夏は暑くて冬は寒い。乗用車みたいに屋根があるわけではないので、風に当たっての長距離走行はとても疲れますし、当然雨が降ればびしょぬれです。しかし、それがいいのです。

 鉄の箱の中で移動する4輪車では味わえない季節の移り変わり、風の匂い、その地方独特の雰囲気を肌で感じることができます。そして、「不便」なバイクという乗り物に乗っているライダー達の間には、お互い助け合うという連帯感が今でもあります。同じライダー同士というだけで、すぐに打ち解けられる仲間意識があります。
 見たことのある人もいると思いますが、旅先で、ライダー達は他のライダーとすれ違う時にピースサインを交わします。普通、4輪車同士ではこのようなことはしません。バイクでの旅だからこそ、このようなことが自然とできるのです。そしてこれが、バイクでの旅(ツーリング)の大きな魅力のひとつだと、私は思います。



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