2008.12.19 作成

WAVE 517のこと(3)(オーバーヒート対策)


WAVE 517は長時間連続運転するとオーバーヒートし、症状が酷くなるとエアブラシから「オイルが吹く」といった事態になることも「しばしば」だそうです。

対策として、ネット上で「圧力スイッチ」と「レシーバータンク」を追加する例を見かけますが、効果の程は? 自作してデータを取ったので紹介したいと思います。
(もっとも「オイルを吹かなくなる条件」がはっきりしないので、参考程度です ^_^; )


[01] 対策の概要

オイル式コンプレッサーなので、オーバーヒートの有無に関わらず多少のオイルミストを含む為、レシーバータンクはオイルミストフィルタの後に設置します。

タンク内の圧力に応じてコンプレッサーをON/OFFさせます。
例えば、タンク内の圧力が0.3MPaまで上昇したらコンプレッサー「OFF」、0.1MPaまで落ちたら「ON」といった具合です。


[02] 温度の測定

温度計をオイルレベルゲージの隣に貼り付けて、次の4通りを比べてみました。

@ 完全な閉切り連続運転
A 無負荷で連続運転
B タンク内0.5MPaでOFF、0.3MPaでON(運転94秒、停止101秒)※
C タンク内0.3MPaでOFF、0.1MPaでON(運転92秒、停止102秒)※

※ タンク合計 約6リットル、エアブラシ圧 0.1MPa


[03] 温度変化の比較

通常の使用状態は、エアブラシから空気が出てると言っても「閉切り(図中@)」に近い状態だと思います。
対する間欠運転(BC)との温度の違いは明らかです。

BとCはコンプレッサーON/OFFのサイクルが殆ど同じなので、単純にタンクに溜める圧力(0.5と0.3MPa)の違いによる比較です。
必要以上に高い圧力をタンクに溜めない方が、温度上昇を抑えられるようですね。

「負荷を掛けなければ温度も上がらないのでは?」とA無負荷連続をやってみましたが、予想に反し早く温度が上昇しました。
負荷に関係なく連続運転は避けた方が良さそうです。


[04] レシーバータンクの容量は?

上記はタンク合計約6リットル(=追加タンク5L+コンプレッサータンク0.5L+フィルタ容器約0.5L)の場合ですが、十分かと思います。

更に大きなタンクの場合、間欠運転の停止時間は伸びますが充填(運転)時間も伸びるので、更に温度上昇を抑える効果は少なさそうです。 (初期充填時間も掛かりますし・・・)

逆に小さなタンクにした場合、ON/OFFの回数が増えて「モーター寿命」に影響がでる可能性もあると思います。
尚、BCの場合20回/時間程度ON/OFFしているので、場合によってはこの回数でも多いかも知れません。


[05] レシーバータンクの調達

ホームセンターのエアーツールコーナーにある物だと最小でも15リットル位が一般的ですが、これだと初期充填に時間が掛かります。 (15Lだと、0.1MPaまで溜めるのに約1分かかる計算です)

丁度良いと教えてもらったのが、自動車(トラック)のエアーホーン用のタンクで、「ヤンキーホーン」と呼ばれているヤツです。
容量も3.5リットルとか6リットルといった丁度良いサイズがあります。

あとタイミングによりますが、産業用機器がネットオークションに安価で出品されることもあります。自分はヤフオクで入手しました。


[06] 圧力スイッチ

単体で汎用品(但し産業用)があります。加えられた圧力で機械的に電気接点をON/OFFさせるので電源は不要です。
延長コードを買ってきて加工し、途中に圧力スイッチを入れればコンプレッサー本体に手を加えずに済みます。
(コンプレッサの電源コードは電流12A用でしたので、用意するコードも12A-VCTF線を使うのが無難です)

初め「圧力スイッチ」がどういったものか分からなかったので、試しにオークションでSMC製のものを入手してみました。
型番はISG230-031、参考までにカタログはこちらです。


[07] 圧力スイッチを選ぶときのポイント

産業用なので一般の入手は難しいです。ヤフオクで出物を探すのが手っ取り早いですが、種類や型番が多く悩ましい処です。

1.設定圧力が0.1〜0.6MPaの間で変更出来るもの(耐圧とは別)
2.応差(開閉圧力差)が0.4MPa程度まで任意に設定出来るもの
3.電気接点容量がAC100V-12A以上(念のため)
4.通常時、回路が「閉」の(設定圧に達すると回路が切れる)もの
 形式にb接点とかc接点があればOK。又はN.C.(Normal Close)等

※ 圧力検出部の接続口(ネジ径等)の違いは、大抵ホームセンターで変換が入手出来ます。


[08] 圧力スイッチ(おまけ)

初め圧力スイッチが汎用品としてあることを知らなかったので、まず思いついたのが市販の圧力センサーの信号でパワーリレーを操作する回路を作ることでした。

センサーやリレーを動作させる電源が別途必要など、先の機械式圧力スイッチに比べると面倒ですが、「電気工作にチャレンジしてみよう!」と半分ネタで作ってしまいました(^_^;)A

メリットは、設定値をピッと簡単に変更できる位でしょうか(苦笑)


[09] 現状です

「レシーバータンク」「圧力スイッチ」「オイルミストフィルター」の3点セットを足元に、邪魔にならないように配置してみました。

あらためて見ると、単なる趣味の世界です (^_^;A
トラブル対策で揃えた物ですが、所詮は趣味の模型のことなので楽しんで行きましょう!

※ 最後にお約束ですが、コンプレッサー本体には手を加えていませんが、やるときは自己責任ですね(^^)


そもそも「何故オーバーヒートするとオイルを吹くのか」といった基本的な情報が無いので、「ズバリこれなら大丈夫!」といった結論が無く、ご参考までに・・・(-_-;ゞ
あと「圧力タンクは3Lくらいだと少ないかも、6Lは欲しい」と聞いたことがあったのですが、何となく納得しました。
しばらくはこれで様子を見て、もし何か問題があれば追記したいと思います。




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