8月第3週(9日ー16日)  ジャコヴィッツァ(南部)周辺の戦闘終え一段落の感、小康状態の中で政治交渉開始の気運。アルバニア人側の交渉団再結成も、解放軍代表と解放軍の政治的リーダーに推されたデマチは除外される。北大西洋条約機構(NATO)と平和のためのパートナーシップ(PFP)14カ国はアルバニアで大規模軍事演習。独リューエ防衛相はコソヴォへの軍事介入を主張。

8月第4週(17日ー23日)  解放軍の一拠点ユニック村陥落、プリシュティナ・プリズレン間の道路沿いで戦闘続く。幹線道路沿いはほぼセルビア勢力がほぼ抑えるが周辺の村には依然解放軍の抵抗拠点が残る構図続く。デマチ「住民の意志である独立が交渉開始の前提」。ルゴヴァも再び「独立」を要求、難民問題で国際機関の監視をアピール。セルビア側「国家機関はテロリスト撃退に努力を続ける」。欧州連合(EU)、難民対策で700万ドルの緊急援助を決定。EUボニーノ人権問題担当官「難民の食料、医薬品不足などは大変な状況になっている。寒くなる前に政治的な問題解決を」。

KLA soldiers
アルバニア・ユーゴ国境を行くコソヴォ解放軍の兵士(提供:David Brauchli/Associated Press/Digitaljournalist)

8月第5週(24日ー30日)  コソヴォ人権・自由委員会の発表「1月14日から8月24日までにアルバニア人の死亡612、難民・避難民38万2000」。中東部クレチュカ村でセルビア人住民少なくとも10人(セルビア内務省によれば少なくとも20人)が射殺されたことが判明。4、5体の遺体発見。ギリシャを除くEU14カ国は対ユーゴ制裁措置としてユーゴ航空の乗り入れ禁止で原則合意。独政府はコソヴォでの人権侵害に関する調査委員会発足、収集した情報はハーグ旧ユーゴ戦犯法廷(ICTY)に送るとする。

9月第1週(8月31日ー9月6日)  プリズレン南西方、アルバニア国境地域で戦闘続く。モスクワのエリツィン・クリントン会談でコソヴォ紛争の停戦呼びかけ。ルゴヴァ、3年間の暫定自治協定なら、と交渉開始を示唆。ヒル米大統領特使はミロシェヴィッチと会談(協定の米政府試案を提示したと見られる)、セルビア側が自治権で譲歩の用意があることを示唆、アルバニア人側も原則同意と発表。ICTYシャルティエ広報官「ICTYはコソヴォに関しても管轄」。EU、ユーゴ航空の乗り入れ禁止で正式合意。

9月第2週(7日ー13日)  中規模の戦闘続き、解放軍トレプチャ鉱山(ミトロヴィッツァ近郊)を攻撃。ルゴヴァ「コソヴォ住民は政治手段による独立を望んでいる」。12日から再びNATOとPFP諸国の演習がマケドニアで。西部グロジャネ付近での集団虐殺(?)発見される。モンテネグロ政府、現在(7万2千)以上の難民受け入れは不可能、とアピール。国連安保理は両勢力に停戦呼びかけ。ユーゴ航空のEU諸国乗り入れ禁止措置始まる。

9月第3週(14日ー20日)  北部のポドゥエヴォ・ミトロヴィッツァ間で戦闘。ヒル案の内容が非公式ながら明るみに。アルバニア人側はこれを受けて独自の暫定協定案を発表。英仏両政府はミロシェヴィッチ大統領がヒル案を拒否した場合軍事介入をするべくNATO内部で働きかける。国連ディンストビール人権問題特使「非合法武装勢力との対決は理解できるが、いくつもの村を全壊させるような戦略は了解しかねる」。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)「最近の戦闘でさらに1万人が難民化、難民・避難民は25万に」。ベオグラードの独大使館前で「軍事介入を強硬に主張し続ける独キンケル外相、リューエ防相に対する」抗議集会。米政府は難民援助に10万ドルの拠出を決定。

9月第4週(21日ー)  コソヴォ解放軍の政治的リーダー、デマチは健康上の問題を理由に隠退を発表。セルビア当局側は戦闘の続いていた北部山岳地域をほぼ制圧。国連安保理はミロシェヴィッチ・ユーゴ大統領に対し即時攻撃停止と政治交渉開始を呼びかける決議を採択、国連憲章第7条を引用しながら不履行の際の制裁措置に言及。NATO加盟国(大使級レベル)は軍事介入への準備で合意。緒方国連難民高等弁務官はミロシェヴィッチと会談、「難民問題で見解に大きな差があり」遺憾の意を表明。