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Dr,Hamanekoの教育改革提言

現状

1: 子どもの自殺、いじめ、不登校など、日本の子どもが置かれている状況は決して理想的とはいえない。あるアンケートによれば29%の子どもが孤独を感じていると答えている。これはヨーロッパ諸国の10倍の値である。ストレスに押しつぶされ、孤独で不幸せな子どもが多いということである。

また、同時に。家庭の教育力は低下し、思いやりの心の欠如、マナーの悪さ、自己中心的で社会性にかける子供が増えている。

これらは家族団らんの欠如、暖かく包み込む母親の愛を実感する時間の短さに問題がある。

2:世界の先進諸国を見ると他国の大学への編入等が容易にでき、単位の互換性も高い。

一方、日本の大学のレベルは高低入り乱れ、基準となるものがないので、日本の大学から他国の大学への編入は難しい。このことは日本の頭脳のグローバル化を著しく阻害し、日本の今後の経済発展に影響するであろう。

3:バブルの崩壊以降、日本の景気は低迷し、貧富の差が著しくなっている。低所得層の子弟は一般的に学力が低く、負け組み意識を持ち、向上心が乏しいといわれている。学力グラフのフタコブラクダ現象が起こっている。

これらの状況を打破し、理想的な教育環境を作ることは日本の真の意味での生活向上、経済発展につながるものと思われる。

解決策

その1 競争型教育から目標達成型教育へ

戦後の日本の教育は競争心を煽る教育であった。それは特に1960年代後半から顕著化したといえる。子供たちは「競争に勝たなければ、良い高校、大学、会社に入れない。」と言われ続けた。一方、自分よりできる人間は常に存在し、大多数の者が負け組み意識を持たされる教育であった。この競争型教育にはゴールがない。合格という人生の中においては小さな目標の達成しかないのである。それゆえに、大学に入ると学生は勉強しなくなってしまう。

提言 

まず、競争型教育からヨーロッパ諸国のような目標達成型教育に変えるべきである。身につけるべき知識とスキルがあらかじめ提示されていて、それをクリアすればよい。時間が空けば自分の好きなことを勉強を気にせずに打ち込める。これが目標達成型教育である。

学年ごとに終了試験を行い、高校卒業試験を合格したものは基本的に大学に入れる制度に変えるべきである。

こうすることにより、日本の大学のレベルは一定以上に保たれ、外国の他大学への編入等が可能になる。

その2 落ちこぼれ、伸びこぼしを出さないために 集団授業+個別指導

学習内容が多くなることはいいことである。小学校は暗記項目をうんと増やし、計算力も繰り返し練習し、完全なものとする。また、図形、論証的要素にも力を入れるべきである。

中学では、暗記した内容を体系的に再構築し、論理性を学ぶ。小中を通して討論式授業を導入し、発表、表現力を身につける。

しかし、従来の一斉授業方式だけでは、35人学級にしたところで、中位の生徒のレベルに合わせるため落ちこぼれや、伸びこぼしを出してしまう。そこで、従来の集団授業に個別指導を合わせたシステムを構築する。

月曜から土曜日まで週34時間の授業を6:4に分け、6で従来の指導要領に沿った集団授業、4を学校裁量とし、授業を行う。この4の部分はシュタイナー方式でも、ドルトン方式でも、日本の教育研究機関が開発した物を採用しても良い。この4の部分は個別指導となるので、臨時職員の大幅採用が必要となる。塾などの民間教育機関との提携協力が不可欠であろう。

更に、放課後、学校内に個別指導の塾を複数開設する。開設する塾およびボランティア団体の価格は、無料から費用もばらばらで良く、生徒と保護者が選択し申し込む。

放課後の学校施設の管理はセキュリティー会社に委託し、学校の教員に負担をかけない。

その3 教育支援センターの設置

問題は6:4の4にあたる午後の授業である。かつて総合学習の時間で、何のノウハウも提示せず、各教員に丸投げし現場での混乱を招いた。そこで、学習支援センターを全国に設置する。センターは、日本の教育研究機関の教育法や、シュタイナー、ドルトン、フレイネ、モンテソーリなど海外の教育方式を研究し(特に個別指導について)、教材を集めノウハウを蓄積した上で教員の研修を行い、実施する。

それらのうちどれを採用するかは各学校の裁量に任せる。それがその学校の特徴となる。

また、センター内に、学習不振児などの個別相談窓口を作り、学校の教員は気軽に相談できる体制を作る。気軽に相談できるために、学習支援センターは文科省管轄ではなく、内閣府管轄とする。

実施初年度は全国に3箇所程度センターを設置。それぞれの教育実践方法のノウハウを研究し、実験モデル校10校と協力して教員養成を行う。次年度以降順次センターおよびモデル校の数を増やして全体化をはかる。

その4   6・3・3制から6・5・2制へ

小学校6年、中学校5年とし、義務教育とする。中学5年卒業資格で普通科高校卒業試験受験資格が得られ、合格したものは大学に進学できる。通常は普通科高校(2年制)もしくは職業高等専門学校(3年制)に進学する。(現在の高等学校の制度を再編する)

普通科高校終了試験合格者は基本的に大学入学資格を持つ。

大学の入学志望者が定員の2倍以上の大学は独自の選抜方法がとれる。1倍以上2倍未満の大学は抽選等で入学者を決定する。

その5 文科省の仕事

文科省は各学年の習得すべき内容を決定し、学年終了試験(小4から高校まで)を作成、実施する。学年終了試験は、各学年、「基礎」、「標準」、「発展」の3種類を作成し、生徒はどれを受けてもいいこととする。また、1教科20項目程度のチェック項目があり、不合格部分のみの追試を何度でも受けられる。全教科「標準」テスト合格で普通科高校進学、それ以下は職業高等専門学校となるが、高専入学後でも追試で合格できれば普通科高校に1年遅れで入学できる。

また、「基礎」「標準」「発展」のそれぞれの不合格者の数を学校別に発表する。(追試挑戦者を考慮して6月に発表)これが各学校の社会的評価となる。

その6 パート就労の一般化

現在、正規社員と臨時社員、パート社員の待遇の格差は著しい。学校でも、専任教員と講師の給与格差は問題である。正規職員と臨時職員の社会保障を含めた待遇は同率とすべきである。たとえば午前中だけの勤務とか、週3日間だけの勤務など、自分の生活設計に合わせた就労が可能になる。家族団らんも持てる様になるであろうし、失業対策にもなる。

学習支援センターの職員および午後の個別指導の教員は、こうした時間勤務の職員の割合を多くすることでコスト削減が図れる。また、教職免許状を持たない塾教師や、高学歴主婦のために準教諭免許制度を作るべきである。(新たな雇用創出にも繋がる)

その7 奨学金の充実

現在奨学金の枠を生活費、住居費、塾費用まで拡大し、返済不要奨学金の枠を大幅に増やすべきである。

これにより貧富の差による学力格差を解消することができる。

これらの方策を採ることにより、冒頭に掲げた現在の教育における問題点は解決できるのである。

また、これらの施策の財源は、現在ばら撒かれている子供手当てでまかなえる。