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9月29日 ・夜明け前より瑠璃色なMoonlight Cradle sideshortstory「朝寝坊」 「ふぅ、今日のスケジュールはいつも以上だな」 朝食の席で達哉はスケジュールを確認しながらため息をついた。 「えぇ、国民が祝ってくれるんですもの、ちゃんとお礼をしなくちゃね」 今日はスフィア王国では女王の誕生日の日で国民の祝日となっている。 王宮広場の前にたくさんの国民が集まって、私の誕生日を祝ってくれる。 その国民の前に立ち、お礼を言うの王宮での公式行事だった。 「今回も何度もあるんだな」 「えぇ、みんなが一度に王宮には入れないからね」 月王宮はそんなに広くないので、国民が集まると入りきれないため、何度かにわけてこの 行事は行われる。 そしてその合間に貴族達の謁見や地球連邦政府から来て頂いた高官の方々とも謁見し、 食事の時間さえ、会食という形でスケジュールが組まれている。 「せめて今だけはゆっくり……とはいかないけど、ちゃんと食事をしよう」 「えぇ」 会食の時は私は何かを食べてる余裕は全く無いだろうから。 「今日もがんばりましょう!」 ・ ・ ・ 「お疲れ様」 「達哉もお疲れ様」 日付が変わろうという時間になって今日の誕生日に関わる公務がすべて終了した。 「去年はこの後お休みだったのよね」 「ごめん、フィーナ。今年は調整出来なかったんだ」 「達哉を責めてる訳じゃ無いわ、ただ地球の家族に会えないのが残念なだけよ」 「そうだな」 会えない地球の家族からはお祝いの言葉が贈られてきていた。 後でちゃんと会ってお礼をしたいのだけど、なかなか地球に上る時間がとれない。 「それで、達哉。明日のスケジュールだけど」 「明日は半日休みだよ」 「え?」 半日休みって? 「俺からの誕生日プレゼントって言いたいんだけどさ、王宮のメイドさん達の嘆願もあって スケジュールを調整させてもらったんだ」 「まぁ……」 「後でみんなにお礼を言わないとな」 「そうね……半日のお休み。何をしようかしら?」 「俺としてはゆっくりと休んで欲しいんだけどな。最近まともに休んでないだろう?」 確かに、ここ最近休日と呼べる日は全く無かった。 「半日じゃ地球には行けないし、かといって出歩くと周りがうるさくなるだろうしな」 王宮の外にでれば王女としての立場もある、買い物とか自由に出来ないどころか人が集まってきて 大変なことになるのは想像に難くない。 「達哉、一つ案があるのあけど」 「なに?」 「まずはゆっくりと朝寝坊、してみない?」 「朝寝坊か……それは魅力的だな」 「えぇ」 どんなに夜が遅くても、朝の公務の時間はいつも通りに訪れてくる。 明日がお休みなら、その心配の必要は無い。 「朝寝坊するには、夜更かしも必要よね」 「夜更かしはいつもしてると思うけどな」 「……そうね」 公務の残りであったり、達哉との時間であったりと、夜更かしの回数はそう少なくは無い。 「でも、明日はお休みよ」 「そうだな、明日は休みだし」 「それに、そろそろ世継ぎの問題もクリアしないといけないのではなくて?」 「……」 顔が赤くなった達哉を見て、私は普段の場所では口に出来ない呼び方に変えて、こう言う。 「それじゃぁまずはお風呂に入って汗を流しましょう、旦那様?」 ・ ・ ・ 「……」 いつもと同じ時間の目覚め。 すぐに起きないと行けない時間だけど、今日は起きなくてもいい日。 そして私の目の前に、達哉がいる。 「ふふっ、可愛い寝顔」 こんなに可愛い顔していても、すごいときはすごいのよね。 「……そろそろ起きないと」 昨夜の事を考えないようにして私はそっとベットから起きようとした。 「ん……もう朝、か?」 「おはよう、達哉。起こしてしまったみたいね。まだ眠っていても大丈夫な時間よ」 「そうかもしれないけど、フィーナは起きるんだろう?」 「えぇ、身だしなみを整えないといけないから」 「そっか、それじゃぁ一緒にシャワー浴びるか?」 「もぅ、達哉ったら昨夜あんなにしたのに、まだ足りないの?」 「……俺をなんだと思ってるんだ?」 「だって……」 私の視線の向かう先にある物。 「……」 「達哉?」 「ごめん、今のフィーナを見ていてそうなった」 「……もぅ、達哉のえっち」 ベットから起き出した私の上半身は裸のままだった。 それは昨日の夜にあった出来事のせいだから。 「あんまり時間も無いだろうし、フィーナを疲れさせるわけにはいかないからな、一緒に シャワーを浴びるだけだから」 「もう、そこまで一生懸命になって言い訳しなくても良いのに」 慌てる達哉がおかしくて笑ってしまう。 「それに、嫌だったら先に一人で浴びてます」 「じゃぁ」 「えぇ、エスコートしてくださるかしら、旦那様?」
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