HDD換装:W110N


 友人がSHARP PC-W110NというノートPCを購入し、よくある話だがHDDを大容量のものに 換装した。というわけで、ちょっとした動作報告をしようと思う。(その友人は WWWサイトを構築していないのだ)

 W110Nは容量1GBの2.5インチ12.7mmHDD(内ネジ)を搭載している。たしか、TOSHIBAのMK-1004MATだったと記憶している(1002かも)。あたらしく搭載したHDDはHITACHI DK227A-41という4.1GBのHDDだ。4GBクラスのHDDとしてはめずらしく、ネジ位置は内ネジだ。

 とにかく、交換自体はうまくいき、認識も若干の問題をのぞけばうまくいっている。その問題とは、2GB以上の領域にハイバネーションエリアを確保することができない、ということらしい。BIOSのバージョンによっては起動すらできなくなるらしいが、幸いにも対応済のものだったそうだ。とはいえ、対応済でも、起動時に毎回警告メッセージが表示されるのは気が滅入るとのことで、2GBを越えない領域にハイバネーションエリアが来るようにパーティションを調整して使っているらしい。それでも、Windows95(OSR2)でscandiskを行おうとすると途中で止まってしまうとかぼやいていたのだが……。


 件の友人とも親しい別の知人にW110のHDD換装を頼まれた。なぜ、彼ではなく私に頼むのだろうと素朴な疑問を抱きながらも作業は終了。近日中にレポートをあげようと思う。役には立たないだろうが。


Toshiba MK-4313MATの場合

 というわけで、私が頼まれたマシンのHDD換装のレポートをお届けしよう。

1.準備として、HDDの中身を退避する。ネットワークドライブを割り当て、
xcopy /s /e /c /k /h /r

としてコピーするのが楽なんじゃないかと思う。DOS窓では実際はxcopy32が呼び出されるのだが、これはオプション次第で不可視属性ファイルやシステムファイルまでコピーしてくれるので便利だ。また、古いHDDが繋がっているうちにHDDフォーマット用の起動ディスクを作っておく事。DOS窓でformat /s a:してから少なくともfdisk.exeとphdisk.exeはコピーしておくこと。でないと、あとで困った事になる。
2.電源を切り、ACアダプタとバッテリを外してから本体と液晶のヒンジ部の両側のパーツを外し、キーボードを持ち上げる
3.向かって左側のHDDマウンタを止めている2本のネジを外す。これだけではHDDがうまく外れない場合があるが、その場合はメインボードのシールドを止めている他のネジも外して、シールドをどけてから外す
4.精密ドライバなどを使ってHDDに接続してあるケーブルを抜く。細かい作業に自信があるならば手でひっこ抜いてもいいが、なるべく丁寧に外す事。このマシンのHDDは型式は忘れたがFujitsuのHDDだった。友人の時は東芝だったと思うので、ロットによって違うのだろう。
5.ネジを外して元のHDDを抜き、新しいHDDを付ける。このとき、東芝系のHDDのように外ネジ(新ネジ)の物を使うとカバーのでっぱりに引っかかってうまくはまらない。頭の厚さが1mm程度のネジに交換するか、思い切って本体の出っぱりを削ってしまう必要がある。幸い、手持ちの資材の中に頭の薄いネジがあったのでそれを使った
6.逆の手順で組み立て、フォーマットする
 実は、このフォーマットが曲者である。W110NのBIOSはHDDの先頭から2GB未満の領域にハイバネーション(メモリの内容をHDDに保存し、バッテリが完全に切れた場合でも次に電源をいれた時に完全に元の状態に復帰する機能)用のデータ領域を確保する必要がある。この領域を作成するのが最初に作ったフォーマット用ディスクにコピーしたphdisk.exeなのだが、このプログラムはHDDの未使用領域の最後にデータエリアを作成するので、
  1. 一度fdiskで2GB未満のMS-DOS基本領域と残り全てのMS-DOS拡張領域を確保し、
  2. その後にMS-DOS基本領域を開放して、
  3. この状態で
    phdisk /CREATE /PARTITION
をしてハイバネーション領域を確保するのだ。当然、この後にMS-DOS基本領域を再度確保する。また、MS-DOS拡張領域の確保では、HDDの最後の領域を論理ドライブに割り当てる際に指定した大きさよりも少し大きな領域を消費するので、残り容量-15MB程度の大きさを指定するとちょうど良いようだ。
7.HDDをフォーマットし、OSを入れ直す。2.5インチHDDを接続できるデスクトップ(タワー)タイプのAT互換機があるならば、一度そのマシンにHDDを繋ぎ直してから
xcopy /s /e /c /r /h /k
で書き戻せばシステムファイルやら何やらが全て書き戻されるのであっさりと元の状態に復帰できる。

 とまぁ、概要だけ書くとこのような手順になるのだが、私が実際に作業した時には

  1. まずマイコンピュータのプロパティのトラブルシュートのファイルシステムで新しいファイルのロックと共有を使わないに変更
  2. lfnbk /v /b /aでアトリビュートごと長いファイル名を8.3のDOSでも扱えるものに変換
  3. データ退避
  4. HDD換装
  5. フォーマット
  6. タワー機に移してデータ移植
     このとき、FDDから起動したために古いxcopyしか使えず、システムファイルと不可視属性ファイルがコピーされないため、attrib -r -h -sやらなにやらを手で入力して属性を解除してコピーし、あらためてattrib +r +h +sで属性を指定しなおすという余計な作業をしている。ルートディレクトリのmsdos.sysとio.sysとmsdos.---等、windowsディレクトリのsystem.datやuser.dat等がそうだ。
  7. \windows\デスクトップと\windows\スタートメニューをコピーして別のディレクトリ名に変更しておいてからlfnbk /v /r /a /forceで長いファイル名を書き戻し、長いファイル名になったメニュー等を名前を変更しておいたスタートメニュー等の下にコピーする。いらなくなったコピーは当然消す。この作業を省くと何もないスタートメニューをみる事が出来る。lfnbkで/forceオプションを指定してもスタートメニュー以下のファイルやデスクトップ以下のファイルなどの一部のファイルは長いファイル名が書き戻されないのだ。

という、ちょっと面倒な手順で行っている。なんでこうなったのかというと、タワー機のprimary masterが2.5HDDで、なおかつ2.5HDD用のマウンタが一つしか無いため、新しいHDDに対してxcopy32が使える環境が無かったためだ。まぁ、secondaryに繋いでいる3.5HDDに95を入れ直してからsecondaryに2.5HDDを繋いでデータを書き戻せばそんな手間はいらなかったのだが、OSを入れ直す手間とどちらがましだろう?

 なにはともあれ、HDDの交換は終り、scandiskもちゃんと通ったので問題は無いだろう。ここに書いた事例ではOSごとまるのままソフトウェア/データを退避して書き戻しているので繁雑になっているが、OSは再インストールするかFreeBSDなどに入れ換えてしまうのならばほとんどの作業は省略できる。起動時のBIOSエラーを気にしないならば、ハイバネーションエリアの確保も省略して構わないはずだ。


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