おっとどっこい海ちゃん


 みなさん、こんにちは。今回は大祭作品先行製作レポート「おっとどっこい海ちゃん」をお送りします。

海洋堂の「海」
 私が作ったのは、海洋堂の1/8「龍咲海」です。なぜ、これにしたかというと一番それっぽかったからです。他にもこの「レイアース」シリーズは出てますが、結構動きのあるものが多く、それはそれで迫力があるのですが、私の好みではありませんでした。原型がボーメ氏であったことも理由の一つであります。

期待のデキの方は
 キットのデキは、キャストキットとしてはほぼ標準でしょうか。特にひどい段差もありませんし、大穴があるわけでもありません。私はボークスのキットを何度か作ったことがあるのですが、それに比べると表面の荒れや気泡の多さが目立ってしまうのですが(相手が悪いか?)。表面処理はかなり時間がかかりそうな感じでした(実際そうだった)。

工作したところ
 細くて長い剣は、パーツが曲がってしまっていました。修正しようとしましたが、うまくいかなかったので、思い切ってプラ板の削り出しで作り直しています。また、仮組みの段階で左足の長さがちょっと足りないようだったので、1mmのプラ板で下駄を履かせてやりました。

サーフェイサーを吹くまで
 まずは、パーツのバリなどをデザインナイフで落とします。ある程度整ったところで離形剤を落とします。離形剤とは、キャストキットの表面に付いているもので、コレを落とさないとパテが乗らない、塗料は剥がれるといったことになってしまうので困ってしまいます。私は離形剤落とし剤「はげます」を使っています。これでパーツを洗い、テカリが無くなればOKです。
 この時点で、パーツをチェックし、段差や大きめの穴はポリパテで埋めて整形します。浅い段差はヤスっていくうちにパテが剥がれてしまうことがあるので、ナイフで溝を彫ってからパテを盛るようにします。




 パーツが整ったら仮組みをします。私は瞬間接着剤は使わないで、真鍮線だけでやってしまいます(過去の反省による)。まずは、0.5mmの真鍮線を使って当たりをとります。真鍮線の頭がちょっと出た状態でパーツを合わせて、真鍮線の位置をマーキングします。そしてドリルで穴を掘って再度合わせ、本当にOKなのかチェックします。ここでダメならやり直しです。OKなら、穴を1mmに拡大してより強固な接続にします。
 仮組みが済んだら、サーフェイサーを吹きます。私は、グンゼのサーフェイサー1000を使っています。

ひたすら気泡埋め埋め
 サーフェイサーを吹くとパーツの表面は一変します。製品の製作工程でできてしまう細かい気泡がたくさん浮き出てくるのです。これらをひとつひとつプラパテで潰していきます。ここでどれだけがんばれるかが作品のデキにかかってくるので、とにかくやるしかありません。気泡埋めに瞬間接着剤を使う話も聞きますが、瞬着は固まるととても堅くなり、ヤスるのが大変なのでお薦めしません。
 プラパテを擦り込むように気泡群に塗っていきます。で、乾くのを待たずにすぐペーパーをかけて均してしまいます。プラパテは乾くと収縮してヒケてしまうので、乾いてからヤスるのが定石ですが、この場合、埋める容積は極僅かなのでヒケても知れてます。軟らかいうちがヤスるのも楽なので、今回はこの方法でやりました。特に問題はなかったようです。
 で、どうやら埋まったかな、となったところでもう一度サーフェイサーを吹いて、下地処理は終了です。




ホワイト吹き
 形ができたら次は塗装です。塗料の発色を良くするため、はじめに白で全面を塗ってしまいます。エアブラシでもいいのですが、面倒だったのでモデラーズのスーパーホワイト(缶スプレー)で塗ってしまいました。

と・そ・う
 塗装は肌色から始めます。フィギュアでは、肌から近い順に塗っていくのが定石です。私はラッカー使いなので、Mr.カラーを使います。色はキャラクターフレッシュの1と2の混色です。メインの明るい色と、やや濃いめの影用の色と2色で塗っています。
 髪は、ブルーインパルスのスカイブルーをフラットベースでツヤを落として塗っています。顔との境めは筆でリタッチするので、あまり厳密なマスキングをしないで塗装します。本来なら影色を作って2色吹きにしたいところですが、造形の立体感が十分あった(さすがボーメ作品)ので、まぁいいかな、といった感じで単色塗りにしてしまいました。

と・そ・う(2)
 ブレザーの紺はブルーインパルスのブルー、スカートはスカイブルーにクリアイエローを混ぜた色で塗っています。アーマーやブーツの白はサンダーバーズのホワイト(航空特色ばっかり)、ブラウスの白はホワイトにちょっとだけインディブルーを混ぜたうすい水色で塗っています。衣類はすべてフラットベースでツヤ消しにしています。縁取りの金は普通のゴールドを筆塗りです。

右腕の接着
 服装の塗装が終わったところで、右腕を接着します。実は、右腕が上腕部で別パーツになっていたのです。




 合わせ目に隙間ができるので、なるべくはみ出さないようにポリパテを詰めます。で、被害が最小限になるように注意しながらペーパーがけをし、丁寧にマスキングをしてブルーを吹き直しました。遠目ではほとんどわかりません。でも、近くで見るとやっぱりバレてしまいますね。

と・そ・う(3)
 仕上げに瞳を筆で塗ります。雑誌などではエナメル塗料を使う例が多いようですが、私はラッカーだけで塗ってしまいます。
 まず、目の外縁に沿って睫毛を描きます。その後、トーンダウンさせたホワイトで白目を塗ります。この時に睫毛の部分が細くなるように塗り重ねて、シャープな睫毛に仕上げてしまいます。
 白目が描けたら、瞳の中心と枠を鉛筆でうすく下書きして視線をチェック。箱絵などの資料を参考に、同じデザインの瞳に描き上げます。下書きの時にあまり濃く描いてしまうと、後で汚くなってしまうことがあるので、軽くかつやや小さめに描くようにしましょう。瞳の縁取りは、私はほとんどしないのですが、明るい色の場合は必要かもしれません。ただ、単純に黒でするのはどうかと思いますけど。
 最後にホワイトでハイライトを入れ、口に淡いピンクのエナメル塗料でスミ入れして完成です。

まとめ
 全体としてデキはかなりいいです。ベストアングルは正面やや左から見たアングルでしょう。逆に右から見るとあまりよくありません。作り易さはキャストキットとしては標準です。気泡の処理が大変でしたが、あれくらいはまぁ普通でしょう。ボークスのキットが偉すぎです。右腕のパーツ割りがちょっと不親切だったかな。塗装前に接着してしまうと内側のアーマーが塗れないので、今回のような手順でやるしかないようです。
 さて、本文は大祭前に書いたものです。果たしてこの「海ちゃん」は当日どのくらいの評判になるのかなぁ。昨年のクローソーほどのインパクトはないけど、がんばって上位に食い込んでほしいですね。



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龍咲海まんが「魔法騎士レイアース」のメインキャラのひとり。戻る
キャストキット主剤と硬化剤を混ぜたものを型に流して固まらせたキット。戻る
気泡キャストを混ぜたり、型に流し込んだりするときに混じった空気によってできてしまう厄介者。戻る
ヒケ乾燥して体積が減り、盛ったときより凹んでしまう現象。戻る
視線フィギュアとにらめっこして視線が合うかチェックする。左右バラバラになってしまうとかなりの違和感が出てしまうので重要なチェックポイントである。戻る
あれくらい表面処理に約3週間程度かかる手間。今回はサーフェイサーを2回吹き直しました。戻る