++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart+++fleaheart++
ふりーはーとメールマガジン ==================================2002/05/26
第48号をお届けします。
配信希望,解除希望,ご意見,励ましのお便り等は,
「ふりーはーと読者の広場」
http://www61.tcup.com/6115/sbd.html
をご利用ください。
「Fool on the Hill 鄙の家」
http://www.pluto.dti.ne.jp/~wada/
からもリンクされています。
★☆ 現在発行部数 43位 です。☆★
====================================================================
[ふりーはーとのメッセージ]

● ジャズを売る店 

--------------------------------------------------------------------

 「じつは,わたくしこういうものです」クラフト・エヴィング商會著(平凡社刊)と云う本を少し前に買った。
 なかなかしゃれた工夫に満ちた作りの本で楽しめるのだが,紹介するとすればどう紹介すればよいのやら,少し窮してしまうが。
 19人の顔写真,必要に応じて小道具,又はその道具を用いている写真が載っています。
 概ね,ひとり一職業(架空)が紹介されています。

 例えば「コルク・レスキュー隊」。鹿島風子31歳。
 コルクと云うのはワインのコルク栓,ワインを呑もうとするとき,最大の難関はコルク栓を抜くことにあります。一本20万円のワインでも1,500円のワインでも同じこと,(1)ポロポロの悲劇(2)ボロボロの悲劇(3)グシャグシャの悲劇の3段階に分類される悲劇に,たとえ熟練のソムリエが扱ったとしても襲われることがあります,通報があれば,消防並の迅速さ現場へ直行しコルクを救出してくれます。救出されたコルクにはちゃんと「カルテ」がつくられ保存されます。
 うまくダイジェストできませんが,このような「わたくしこういうもの」の話が19話載っています。(稲垣足穂風の味わいが一部あります)
 浮き世離れしすぎて,上品にすぎるきらいはありますが,そういう職業があれば助かるとか,ふむふむそういう仕事に就きたいと云った夢が描かれています。
 モデル顔写真(著者の知り合いが,架空の職業を演じているわけですが)がリアル感を醸し出しています。

 この本を買って数週間して,是非この本の20人目に加えたい方と申しますか,仕事をされている方を知ることとなりました。
 「わたくしこういうもの」の方は架空(虚構)ですが,これから,ご紹介するのは,実在の本物です。

 勝手に名付けて「ジャズを売る店」。
 看板はブルーに白抜きで「*OP」「Jazz」とサキソフォンの絵です。
 商いますものは,マスターのKJさんは,「ショット・バー」とおっしゃってゐますが,看板に偽り無くジャズです。
 マスターは昼間は別に仕事をされています。
 夜,自転車で店にやって来て8時頃看板に灯りがともります。
 「 開店の動機はなんですか」
 「そこそこ音量を上げてジャズを聴ける場所が車の中の他に欲しかったことですね,この場所ではいくら音量あげても良いって了解とってますよ」
 「それと,ビールが好きなもんですからね,原価で生ビールが呑めるって役得もあるし…。ははは…」
 と云った具合で至って屈託なくお笑いになるが,夢を叶えた満足感がそこにはある。
 「ふりーはーと」の取材のためと家人には称しながら居心地の良さを求めてお邪魔している。
 一昨日(金曜日),ドアを開けると,ほぼ満席の状態「えっ」店を間違えたかと思いました。
 「こんなの開店以来,初めてですよ」とマスターが困ったような,嬉しさ半分位の顔をした。

 さて,肝心の場所であるが,夜の6時半か7時ごろ広島県は東部のF山駅で新幹線下車,駅前の交番で訊いて…,いや,駅前交番の裏に「たこ焼き屋」さんがあります,そこの店内に二人掛の小さなテーブルが2つありますので,そこへ腰掛けて,たこ焼き(醤油,ソースの2種有,ここのたこ焼きお薦めです)とビール(缶ビールですが)を注文してください,少し腹ごしらえしといた方が良いでしょう。
 ただ,誰かのようにここで缶とは云えビールを5本も6本も呑んで了わぬこと,せっかくの「*OP」の美味しい生ビールが不味くなるおそれがあります。
 で,おもむろにですね,このたこ焼き屋さんで壁を見回してください,小さなチラシに「ジャズを売る店」って書いてないですが「*OP」の場所,コンセプト(?)が判る仕掛けになっています,不安な場合は,ためらわず,たこ焼き屋のご主人に訊いてみませう。
 なあに歩いても大した距離じゃないです。

 マスターと小生の共通点。
 ふたりとも,「コルトレーン・イン・ジャパン」アナログLP2枚半組と云う不思議なレコードを所持しているが,未だかつて一度も通しで聴いたことがないこと。

灯のともった看板
マスターのKJさん
壁にはアナログLPのジャケット

--------------------------------------------------------------------
後記:「コルトレーン・イン・ジャパン」に司会で相倉久人氏の声が入っているのを思い出した。氏がNHKラジオで「若いこだま」で司会をされていたのを愛聴していたのも同時に思い出した。氏の著作「モダン・ジャズ鑑賞」「ジャズからの挨拶」「ジャズからの出発」が今も手元にあるが,学生時代こんな本を読みながら聴いてゐたのかと思うと感慨ひとしおだ。山下洋輔の対談集「セッション・トーク」の中での氏の発言も興味深い。
「ジャズからの出発」の最後のポストジャズ・イン・クラウド(1973年に書かれたようだ)の中で加川良を「彼が肉体を通して本当の唄をうたえる数少ない『幸福』な歌手であることは,たしかである。」と絶賛している。どこかに書いたかも知れないが,最近,加川良の「親愛なるQに捧ぐ」のアナログLPを入手した。時代錯誤と時間の交錯が起こり,ある種,酩酊感が続く。…

ふりーはーとメールマガジン バック・ナンバー(画像追加も有)は,
http://www.pluto.dti.ne.jp/~wada/fleamain.htm
をご覧ください。
配信時の内容が訂正,改稿されている場合があります。
ふりーはーとメールマガジン ================================== 2002/05/26
++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart++++fleaheart+++fleaheart++