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ふりーはーとメールマガジン ==================================2011/05/17

第115号をお届けします。

「Fool on the Hill 鄙の家」http://www.pluto.dti.ne.jp/~wada/

★☆ 現在発行部数 本誌のみです。☆★
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[ふりーはーとのメッセージ]

● 「奥の細道」で遊ぶ

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 たしか数年前のことだつたと思ふが、世紀の大発見として松尾芭蕉自筆の「奥の細道」の元本がみつかつたと報じられた。
 岩波が版権を手にして美麗印刷本がすぐに世にでたのはいふまでもない。
 小生,好事家のたぐひだから,もちろん,直ちに書店でその図版のやうな写本を求めた。

 それから,幾歳である。

 だうも記憶が定かでなくなつてをり,申し訳ないのだが,小生がほーむ頁は「Fool on the Hill」のあとに「鄙の家」をくつつけてある。
 この「鄙」は芭蕉翁筆本(といはれる)によれば「雛」となつてゐる。
 この芭蕉本が出るまでは小生の記憶の雰囲気からすれば「雛」と「鄙」が相半ば(いやもちろん「仮名」のものもあるにはあるが)であつた。

 小生が生まれ,育つたのは,備后は福山,草戸村で室町時代に朝鮮半島と盛んに交易のあつた草戸千軒町遺跡の在る場所である。
 
 かわらけのやうに素焼きの土器が大水のたびに川底からあらはれては,消える場所であつた。
 小生は,現在も,ここにある古刹「明王院」には毎週のやうにお参りをさせていただゐてをり,かつて当マガジンの「蛇含草」にも登場させてゐる。
 ちよつとかんがへ方をかへると,草戸千軒町は明王院の門前町であつたともいへる。
 明王院の奥の院にあたる場所に愛宕様がお祀りしてあり,その場所から直線で数十米と離れぬ場所にわが庵(ゐほり)はある。

 そんなこんなで,高台にすまひするをもつて,ほーむ(わがや)頁を立ち上げるにあたつて,上記のごとくしたやうにおぼゆる。


 奥の細道(原文)
 月日は百代の過客にして 行かふ年も又旅人也 舟の上に生涯をうかべ 馬の口とらへて老をむかふる物は 日々旅にして旅を栖(すみか)とす 古人も多く旅に死せるあり 予もいづれの年よりか 片雲の風にさそはれて 漂泊の思ひやまず 海浜にさすらへ 去年(こぞ)の秋 江上の破屋に蜘の古巣をはらひて やゝ年も暮 春立る霞の空に白川の関こえんと,そゞろ神の物につきて心をくるはせ 道祖神のまねきにあひて 取もの手につかず もゝ引の破をつゞり 笠の緒付かへて 三里に灸するより 松嶋の月先心にかゝりて 住る方は人に譲り 杉風(さんぷう)が別墅(べっしょ)に移るに

  草の戸も住替へる代ぞひなの家

 面八句を庵の柱に懸置


なるが故を以て,小生がほふむぷゑいぢを「鄙の家」と名付けたり。


 奥の細道(現代語訳 含:わだによる新解釈)
 月日は百代という長い〃時間を旅してゆく旅人のやうなものでありその過ぎ去つて行く一年〃もまた旅人なのである
 船頭のやうに舟の上に生涯を浮かべ また馬子のやうに馬の轡を引いて老ゐてゆく者は日々旅の中にゐるのであり旅を住まひとするであらう
 西行 能因等昔も旅の途上で亡くなつた人も多い
 小生もいくつの頃であつたか吹き流れてゆくちぎれ雲に誘はれ漂泊の旅への思ひをとどめることができず海ぎはの地をさすらはむ
 去年の秋は川のほとりのあばら家に戻りその蜘蛛の古巣をはらひ一旦落ち着いてゐたのだが次第に年も暮れ春になり霞のかかつた空をながめてゐると ふと白河の関を越へてみたくなり 訳もなく人をそはそはさせるといふ「そぞろ神」に憑かれたやうに心がさわぎ道祖神の手招きにあつて何も手につかなひ有様となり股引の破れを繕ひ笠の緒をつけかへ三里のつぼに灸をすへた途端に松島の月がまず心に浮かび住み馴れた深川の庵は人に譲り旅立までは杉風(門人である「さんぷう」)の別宅に移り

  草の戸も 住み替はる世ぞ 鄙の家
  (戸口が草で覆われたこのみすぼらしい深川の宿も小生にかはつて新しい住人が住みはするであらうがさらに鄙びた家になるであらう)

 と発句し面八句を庵の柱に書き残すこととした


 

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後記:一応新作です。mixiの日記とtwitterにもほぼ同じ内容のものを掲載または流してゐます。
若い方(昭和四十年代生まれ)から何度読んでも意味すらつかめぬとのお話を聞いて気をよくして掲載に踏み切りました(笑)。
小生にとっては,いまは,こんな莫迦なことやつてる閑はなく,38糎スピーカーをフォーウェイマルチアンプでいかに駆動するかに腐心してゐる次第。
早書き,殴り書きにつき容赦されたい。

わだ拝

ふりーはーとメールマガジン ================================== 2011/05/17
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