ポスターセッション 10月7日 17:00〜17:30 「インプラント治療についての歯科麻酔のかかわり」 −インプラント手術時の患者管理に関するアンケート調査− 日本口腔インプラント学会員のインプラント埋入時の全身管理に関するアンケート調査 いわき市開業 小野先生 ・インプラントを手がけている開業医の術中管理についてどのような認識を持つかを検討 ・対象:日本口腔インプラント学会員、開業医300名を無作為に抽出、郵送アンケート調査 ・回答率29%(86通) ・結果および考察 ・インプラント埋入手術時間:2時間以内が96% 最長時間1.5時間〜8時間 ・術中のバイタルサインの測定:33%の先生が施行せず インプラント埋入本数の多い先生ほど術中バイタル測定に関心有り パルスオキシメーターの使用は29% ・術中偶発症経験:19%(血圧異常、意識レベルの低下、呼吸異常等) ・バイタルサインのチェック:術者が約60%、歯科麻酔医は7% ・術中の精神鎮静法または全身麻酔の併用 精神鎮静法32% 全身麻酔6% 併用しない62% 埋入本数の多い先生ほど併用 ・鎮静法の方法 吸入鎮静法が多い:術者が管理する事が多いため ・静脈内鎮静法の管理者 術者47% 大学からの歯科麻酔医25% →歯科麻酔科医が管理することにより手術がやり易くなるのでは… ・静脈内鎮静法を用いない理由 操作が煩雑で、いやがる患者が多いため34% 効果が不確実な時有り5% 歯科麻酔認定医がいないから31% ・インプラント埋入術中のストレス軽減を心がけているか? 約60%の先生があまり考慮していない →患者さんのインプラント埋入術に対する恐怖心を取り除くことが、インプラントの普 及につながるのではないか? ・インプラント埋入術に歯科麻酔医を必要としているか? 必要19% いらない44% 埋入数の多い先生ほど必要としている ・歯科麻酔医への要望 歯科麻酔医を派遣するシステムを教えてほしい:多数 東京都杉並区開業 山川先生 はじめに osseointegration前のインプラント:ブレードタイプ、骨膜下インプラント →予後不良、撤去が困難 sinus lift、骨移植、下歯槽管移動術→危険性を歯科麻酔医が伝えるべきだ ・187名のインプラントロジストにアンケート調査 ・血液検査 施行(全例11%、症例によって24%) ・全身疾患について相談できる医師がいるか? いない18%、いる81% インプラント治療時のモニターの使用 症例によって40%、全例33% ・使用しているモニターは? 血圧計、パルスオキシメーター →開業医が主導:インプラントのキットに経費がかかり、モニターまで回らない… ・インプラント手術時の精神鎮静法を併用しているか? 全例2.7%、症例によって43.3% ・どんな鎮静法を行なっているか 静脈内鎮静法23/78名、笑気吸入鎮静法66/78名(複数回答) 管理は術者60%、衛生士33%、看護婦10%、他の歯科医師(歯科麻酔科医含 む)37%、医師11.5%(複数回答) ・インプラント手術時のトラブル あり46.6% ・どんなトラブルか?(複数回答) 知覚麻痺60% 上顎洞迷入4.7% 歯槽骨骨折1% 全身的合併症12/187名 処置せずに回復8名、一般病院に搬送1名、自院で処置25% →開業医では信用問題があり正確なトラブルの数が出てこない ・歯科麻酔学の講義を大学で受けたか? 習わなかった15.8%、習った60%、口外の一部として習った24% ・インプラント治療における歯科麻酔の重要性 開業医の行なっている治療内容(過去のものも含めて)に精通する必要がある →どういった危険性があるのかを熟知しなければならない 全身状態の把握→インプラントの適否が変る 治療の中止も歯科麻酔科医が指示を出すべきときもある 全身状態から予測される危険性を歯科麻酔科医が開業医に知らせるべきだ 開業医のインプラント講習会100時間コースの中で歯科麻酔は2〜4時間のみ 有病者についての一般的な対応しか講習できない 大学や歯科麻酔学会で、インプラント治療における歯科麻酔の重要性を、開業医にも     広めていくべきである 質疑応答 インプラント治療時の偶発症も比較的多く見られる インプラント治療を行なっている開業医の先生へ、今後歯科麻酔科医がどのようにアプローチ すべきか? 小野先生 ・インプラント学会にわれわれがもっと参加して発表することもひとつの方法 ・歯科麻酔科医を開業医に派遣することで理解してもらえるのではないか 山川先生 ・(歯科麻酔)学会主導で行なわないと業者も動かない、開業医も協力的にならない ・危険性に対する対応は「歯科麻酔科医」が行なえる ・有病者の静脈内鎮静法とは違う 口腔インプラント学会での発表に対する反応は? →無い.危険性についての今後の啓蒙が重要 別府先生 ・出張麻酔時の賠償問題は? →開業医が他の歯科医院に出張した場合は、勤務医の賠償保険にも入る必要がある