第4回歯科麻酔を考える臨床医フォーラム 第2部 代表 西村先生の挨拶 吉村大会長の挨拶 ・この会も4回目になり益々盛況で喜ばしい ・ そろそろ、学会との関係をはっきりさせる時期ではないか? ・ 理事会の意向をフォーラムにもできる範囲で限り伝えたい ・ 活発な討議を期待 西村先生 ・ 歯科麻酔医が、在宅歯科診療とどういう形で関わりが持てるかということ に関してご討論をお願いしたい ・ 司会者の紹介:小松病院歯科口腔外科部長 藤先生 司会 藤先生 ・ 八千代市で開業しておられる歯科麻酔認定医の古屋先生、実際に八千代市 で在宅診療に当たられている溝口先生、病院歯科のエースであります都立荏原病 院歯科口腔外科の佐野先生の順に基調講演をお願いします ・ その後に、討論をしたいと思います 古屋先生 八千代歯科クリニック ・ 八千代市歯科医師会における在宅歯科診療の現状と問題点について述べさせていただく ・ 私自身は、八千代市歯科医師会の在宅診療の役員という形で係わっています ・ 歯科麻酔認定医を取得して13年になる→認定医取得のための研修を日々の歯科臨床に生かしている ・ 高齢者や有病者の歯科診療に歯科麻酔の知識は不可欠 ・ 歯科麻酔認定医の知識を在宅診療に生かしたい→歯科医師会員の先生と歯科麻酔の知識を共有しなければならない ・ 在宅歯科診療の中で歯科麻酔医としてどのようなことが出きるのかを示したい ・ 千葉県八千代市(習志野市と千葉市に隣接)の在宅歯科診療(平成5年11月より開始) ・ 指針:「寝たきりの在宅療養者の方々に、食事をおいしく食べて頂き、QOL の向上につながるよう可及的に歯科診療を行ない地域医療に貢献する」 ・ 全身状態とADLを把握・評価した上で治療内容を検討するシステムが必要不可欠 ・ 全身管理の知識を共有・実践・応用するという意味合いにおいて、誰が行なっても同じ結果を得る必要性がある→評価項目を簡素化しつつ必要な情報が得られる必要がある ・ 在宅診療登録カード:予診診査に使用 ・ 全身状態の評価:予診に行った担当医が選択項目にチェック ・ ADL、摂食状態:保健婦がチェック ・ これらをパソコンに入力・管理(ソフトウェアの準備期間に6ヶ月を要した:在宅診 療管理システム)→全身状態、ADL、摂食状態のパラメータより治療リスクを算出(担当医への治療依頼書、委員会の判定資料作成、モニタリングデータ‐の蓄積、統計処理も可能) ・ 算出した治療リスク:予診委員会の判定資料 ・ 在宅歯科診療の流れ ・ 診療依頼(病歴、主訴、投薬状況の資料が予め渡される) ・ 予診 ・ 予診診査(3名(担当歯科医師、歯科医師会衛生士、行政衛生士)で行なう): ・ 担当歯科医師(患者さんの希望が優先されて決定):口腔内所見と主訴の確認、全身状態の所見をチェック ・ モニター、ECG、血圧、パルスオキシメーターの記録、口腔内写真(デジカメ)も記録 ・ 予診委員会:原則毎週金曜日、訪問診療委員会委員、歯科医師会の三役、口腔外科・全身麻酔管理経験医、病院歯科医、予診担当医が出席し、得られた資料内容と主訴に 見合った予定治療内容を報告→予定した治療内容が適切かどうかを検討、問題点を指摘し、起こりうる偶発症を示す ・ 予診診査結果および治療内容の設定:判定結果(全身評価、ADL評価、治療リスク)はそれぞれ5段階で評価 ・ 治療リスクポイント(全身評価、ADL評価、投薬状況、合併疾患の有無、寝たきり期間、年 齢、モニタリングデータ‐より得られる度合い)は1-5点に分類し5の場合は在宅診療不可能と判定 ・ 算出された治療リスク以外にも、患者の現在の状況、担当医と各委員の意見を まとめて治療内容を決定 ・ コンピューター内ではそれぞれのデータ‐に一定の係数をかけて得られたポイントから リスク別の治療指標に分類(1aから5bまでの十段階) ・ 会員:予診委員会を行なうことで寝たきりの患者さんの危険性やラポール形成 の重要性を認識 ・ 一方で,予診委員会が有るために、在宅診療への参加を取りやめた先生もいる ・ このシステムにより歯科医師・患者双方において無理のない治療形態がとれる ・ これまでの在宅診療の統計結果 ・ 疾患別:脳血管障害が最も多い、ついで循環器障害 ・ 治療別:リベースを含む義歯修理が多い ・ 年齢別:80歳台が多い ・ 診療時のモニタリングは必須:義歯調整でも血圧の変動あり、全体に治療中の血圧は上昇傾向:治療によるストレスが考えられる ・ 観血処置:原則行なわない ・ 寝たきりの方に与える不安感、ストレスは大きい、循環動態が不安定→侵襲の 大きい処置は在宅では不可能 ・ 在宅診療での不測の事態:担当歯科医師の責任問題、QOLの増加のためが逆効果になる可能生有り ・ 治療リスクの評価が大切 ・ リスクの低い患者さんでも局所麻酔は与えるストレスが大きい ・ 在宅診療は治療リスクが高い:処置後のトラブル発生に気をつける ・ 寝たきり患者:日毎に患者さんの状態が変化している ・ モニタリング:かなりの方に不整脈、著しい血圧変動、心筋虚血所見、DMを認める ・ 感染対策、止血処置の問題もある ・ ラポールがしっかり成されている場合:患者さんの緊張はない ・ 診療担当医はかかりつけ医が行なうべきである:治療リスクが一段階下がるかもしれない ・ 寝たきり患者は日々全身状態が変化する ・ 当日の体調を確認する ・ 患者さんが不調を訴えるときは治療を延期する ・ 我慢できないときは中止する ・モニター装着の必要性を説明し使用する事により体調の把握ができる ・座位の保持可能時間の把握も重要:かなりのストレスとなる場合がある まとめ ・ ハイリスクな患者の歯科治療、観血処置、局所麻酔等を行なう場合、患家の治療 環境や衛生環境、止血処置、術後管理を考慮すると在宅診療の限界を痛感する ・ 義歯作成、調整だけでなく残存歯の抜歯等も含めた総合的な治療を要する場合も少なくない ・ 患者の希望の実現には予診評価が重要ではあるが、評価を木目細かく行なえば行なうほど在宅で可能な歯科治療の範囲が限定されてくる ・ 在宅診療だけで治療を完結させるのは困難→病診連携が重要、治療内容の境界線を明確にする必要がある ・ 義歯の調整でも循環の変動がある:高齢、寝たきり、予備力の低下した症例の場合、 家族への十分な説明が重要で、必要な場合は連携医療を行なわなければならない ・ 今後は、個々に患者の状態評価を行なった上で、治療の境界線を明瞭化し、在宅では 危険度の高い診療は病院歯科や大学との連携の上で進めることが、結果的にQOLの向上につながるもの思われる 司会 藤先生 ・古屋先生、ありがとうございました ・ 次に実際に在宅歯科臨床でがんばっておられる溝口先生にお願いします 八千代市歯科医師会 溝口先生 ・ 八千代市歯科医師会の在宅診療担当医としての感想を述べさせていただきます ・ 平成5年10月1から訪問歯科診療を開始 ・ 訪問歯科進路床医師に先立ち高齢者の全身管理の講習会、各種講義→不安 感が募る、診療の合間に訪問するのでは困難・ 全身状態に関する情報提供、 内科担当医の意見が必要 ・ 予診委員会+モニター監視下に診療→安心して治療可能 ・ 実際の訪問歯科診療の流れ ・ 家庭内で患者さんがどのように扱われているか?:訪問することで把握可能 ・ 在宅の場合は様々な家庭状況、衛生状況に合わせて診療しなければならない ・ 治療環境 ・ 生活状況の悪い例もあり、診療中の術者のpositionも限られる ・ 狭いスペースで治療しなければならない ・ しかし、患者さんは訪問診療を待ち望んでいる ・ 患者さんの要求している治療内容は適切か?可能か?治療のメリット、デメリットは? ・ →予診委員会で複数の先生の意見をまとめて決定 ・ 診療器材 ・ ポータブルユニット、コンプレッサー、ポータブルX-P、吸引は家庭の掃除機を使用 ・ 高額の機器は行政から貸与を受けている ・ ある程度の器材は行政歯科衛生士が持ち運ぶ ・ 担当歯科医師:自分が必要とするものを持参 ・ 治療内容 ・ モニター監視下に施行 ・ 補綴(義歯)関連の処置が多い ・ 印象採得は循環の変動、誤嚥に注意(得に上顎) ・ 観血処置は原則行なわない→近くに歯科医療センター、病院歯科等がなく観血処置困難、東京歯科千葉病院、市川病院に依頼(遠距離) ・ 8020も口腔衛生状態が不良の場合は問題、総義歯の方が診療し易い ・ 診療にあたっては、患者さんとの信頼関係を築くことが重要:診療される側の不安を 十分に考慮し安心感を与える:患者さんおよびその家族とのラポールの形成が重要 ・ 担当医が以前からのかかりつけ医であれば一番安心 ・ 話し掛けや手を触れる等により安心感を与えることが大切 ・ モニター測定も担当医が行なうことで安心感を与える ・ 当日に異常認めた場合処置を中止する ・ 処置に際しては在宅診療の専任の歯科衛生士(歯科医師会衛生士)が介助に当たり、安心・安全に一役買っている 診療に持参して重宝するもの ・ デンチャーライナー、エアージェットクリーナー(カメラ用品)、ポータブルエンジン、紙やすり、パフ 患者さんと心的融和を結び、モニター監視、予診委員会での複数の歯科医の意見交換による 診療内容の決定を行なうことで、安心かつ安全な訪問歯科診療が行なえる ・ 症例1 71歳 男性 転倒による歩行困難、言語障害があり咬合不全が主訴 ・ 処置:義歯の新製、リベース、修理等、1時間の座位が可能 ・ H5より開始:全身状態徐々に悪化→状況に応じた治療→H9に死亡 ・ この間良好な摂食状況を維持できた ・ 症例2 84歳 女性 パーキンソン(歩行不安定)、独居老人、ヘルパーが巡回 ・ 処置:義歯修理、リベース、義歯新製 ・ 降圧剤を内服し続けて血圧の低下をきたした(血圧測定が木目細かくされていない) →処置の中止、内科対診 ・ デイサービスで義歯紛失→破折 ・ 有病の高齢者は老化と供に口腔状況が悪化→先を見越した診療が重要 ・ 平成12年より介護保険が導入→歯科領域:訪問歯科診療、訪問歯科衛生指導の医学的管理が必要 ・ 歯科医師:口腔ケアの必要性を広め、必要な診療に対応しなければならない ・ 在宅診療による口腔機能の改善が食べることを中心としたADLの改善、QOLの改善へと効果が波及することを願う 司会 藤先生 ・ 引き続いて、都立荏原病院歯科口腔外科 佐野先生にお願いします 都立荏原病院 歯科口腔外科 佐野先生 ・ 都立荏原病院は品川区、太田区、目黒区、世田谷区の4区を守備範囲として、H6年10月 19診療科 新装再開院 500床にて改築 ・ 開院当初より病診連携(連携医制度)を最重点課題とした ・ 病院の重点医療:脳血管疾患医療、肝臓・神経内科難病、感染症、障害者歯科 ・ 逆紹介医制度:地域で十分対応可能な患者さんをその地域の連携医へかかりつけ医と して紹介(病院の最重点課題の一つ) ・ 歯科受診の紹介状のない患者さんで全身的に問題が無く診療所でで十分対応可能な患者さんには、 逆紹介に応じてくれるよう協力を求めた。 ・ 歯科口腔外科の方針:地域の歯科医師との共存共栄を目指す ・ 心身障害者の入院下歯科治療 ・ 有病者や感染症、歯科治療恐怖症患者の歯科治療 ・ 口腔外科疾患 ・ 寝たきり状態の患者:一定期間入院の上で当科的治療を行なった後に、訪問診療に戻す ・ 大学病院よりはるかに敷居を低くした ・ 急患を拒まない、どんな時間でも電話一本で対応、サービスに徹した歯科 ・ ユニット6台、1台は感染症用 ・ スタッフ:常勤医3名(歯科麻酔認定医、口腔外科医、補綴・障害者歯科、全員補綴もこなす)、 月〜木:3大学より日替わりで非常勤、必要に応じて口腔外科、補綴科、歯周科、歯科放射線科が非常勤で勤務→常勤医の歯科技術向上に寄与、HD3名(アシスト不足をDH実習生でかろうじて補っている) ・ H10年より臨床研修医1名 ・連携医:登録連携医―医科691名、歯科892名(歯科医師会員の半数)(開院当初は歯科の連携医は非常に少なかった) ・ →歯科医師会の懇談会等に積極的に出席し、連携を呼びかけた ・ →病院誌(連携だより)を毎月発行(45巻)、歯科口腔外科のコラムも毎月執筆 ・ 連携医のメリット:患者の紹介、逆紹介、副主治医制(オープンシステム)、院内諸施設の利用、 院内症例検討会への参加、病院誌(連携だより)の送付 ・ 副主治医制:毎月数人の歯科医師が利用:患者にとってもかかりつけ医がそばにいる安心感がある ・ →地域の歯科医師との交流が持てるというメリットもある ・ 連携医が増加することにより紹介患者数、入院患者数とも増加してきた ・ 口腔外科疾患、有病者患者ともに増加 ・ 入院患者の1/3が寝たきり患者の歯科診療(98年):在宅で困難な治療を 行ない、その後訪問診療に帰す ・ 当院が病診連携を円滑に進めてこられたのは? ・ 開院当初より病院の最重点課題とした ・ 独立した連携室を設置した(担当医が返信を出したかどうかもチェック.初診時、治療終了時、途中経過報告の徹底) ・ 副主治医制を導入した ・ 開業医のニーズを理解するように努めた(医師会、歯科医師会を対象とした 定期的懇談会の開催:病診双方の要望、意見交換) ・ 逆紹介も積極的に行なった ・ 病院誌に歯科コラムを休まず連載した ・ 連携医対象の勉強会の開催 ・ サービス精神旺盛のスタッフに恵まれた 病院歯科として評価されるために ・ 口腔外科医、歯科麻酔医である前に、院内外ではやはり「歯科医」である →痛みを止める、噛めるようにする事が求められる ・ 大学は、大学に残したく無い出したい人より、その病院に行きたい人を出 すべきだ(働き者を出すべきだ:時間外でも進んで診療することが大事) ・ 開業医への理解が必要 ・ 他院の治療の非難は絶対にしない ・ 事務の立場の理解(職種、常識のの違いに理解を示す) ・ 職員の急患は喜んでみるべきである:歯科疾患は普遍的なもの、歯科への 支持が期待できる その他 ・健康保険請求の知識も必要:経営観念が必要(保険制度の無知は罪:請求できるものは請求する) ・ 歯科治療入院は必要無いという考えがある→食べられないことも立派な病気ではないか? ・ 咬合回復のみが目的の入院が健康保険制度で認められないのは非常に悔しいことである ・ 医療はサービス業、麻酔は究極のサービス業 ・ 歯科麻酔認定医は誇りではあるが、誇っては他院、多の科から支持を得られない 司会 藤先生 ・ 本音で討論してください 和歌山県 山本先生 ・ 寝たきり状態の環境が悪い、家族の協力があるかどうか→観血処置をしない理由? ・ 今後施設への訪問診療は? 溝口先生 ・ 基本的に観血処置はしていない(露髄処置も観血)→治療範囲は限定されている ・ 独居老人でも処置時は家族等を呼んで来てもらっている 古屋先生 ・ 八千代市歯科医師会:今後施設への訪問診療も考えている(アンケート調査中) ・ 担当医:かかりつけ歯科医師がいるかどうかを確認、いない場合近隣の先生に頼む 盛岡市 橋場先生 ・訪問歯科診療支援委員会に携わっている(市の予算が出ている) ・ 八千代市の在宅歯科診療はシステム化されていて驚いています ・ 予診から予診委員会を経て実際の診療が開始するとの事ですが、予診時の 疼痛への迅速な対応とその安全性(リスク判定)はどのようにしていますか? 古屋先生 ・ 痛みのある場合は予診時にも応急処置は行っている(義歯調整、薬物塗布等) ・ 初回に局所麻酔、観血処置は行なわない→応急的処置のみ 橋場先生 ・ 盛岡市の訪問歯科診療に対するニーズの調査:保健婦による調査で患者さんの訴えを聞き取る→1/3が治療希望 ・ 訪問診療のシステムを広報することでシステムが充実するのではないか?→PRの必要性 ・ 盛岡では市の広報や検診の案内に載せている 古屋先生 ・ 八千代市も市の広報に載せているが、認知度は低い ・ 口コミで来るケースがある ・ 介護保険の導入に際し、歯科治療の必要性があるかどうかも審査会でチェックしてもらう予定 ・ 在宅歯科診療の要求が出てくることに期待している 長崎大学 鮎瀬先生 ・ 長崎大学歯学部自体の存続も厳しくなってきている ・ 病院を介護型病院、オープンシステムにしようとの動きもある ・ 1歯のみの抜歯を行なって戻す事も可能か? ・ 初診料の算定は? ・ オープンシステムにして処置料のみ開業医の先生に取らせることが可能なのか? 佐野先生 ・ 紹介の場合は紹介料加算があるため、紹介のない患者さんより初診料が高いという弊害がある ・ 都立病院では、公平を得るために、その紹介加算分を紹介のない患者さんからも 追加料金(特別料金)として徴収している(これは公的に認められている) ・ 紹介状がないと見てくれないという噂→紹介状のない患者さんは来なく なってきている ・ 逆紹介の場合も特別料金を払った後に、保険で見とめられている紹介料を払って もらっている→稀に患者さんから指摘されること有り ・ 1歯のみの抜歯でも問題がない ・ 1患者、同月、2医療機関のレセプトがでても問題となっていない ・ オープンシステム:ペリオの手術の場合病院は管理のみ行ない、術者は副主治医の開 業医の先生が行なうこともある→料金は病院の収入 司会 藤先生 ・ 八千代市の訪問歯科診療のシステム化について、予算、予診システムに使用しているソフトについて等お願いします ・ 千葉県内での訪問診療はどの程度なされているのか? 溝口先生 ・ 千葉県内で訪問歯科診療が実施されているのは全体の16%です 古屋先生 ・ 市からは委託金が予診委員会の運営費(報告費)という形で出ている ・ 予診に参加している先生に報告費として支払う ・ 千葉県のモデル事業になっている ・ 財政縮小に供ない最小限の補助となってきている 司会 藤先生 ・ 他の地区でモデル地区で携わっておられる先生は? 横浜市 別部先生 ・ 横浜市でもセンター事業として障害者、訪問歯科診療、ショートステイを行なっている ・ 訪問歯科診療は登録医、班分け(5〜6班)による担当医制 ・ 市からの援助あり ・ 毎週木曜日に巡回、8世帯/日 ・ ASAリスクを参考にして治療リスクを決めて処置内容を決定、観血処置も行なっている ・ 手におえない場合→ショートステイのシステムで治療 ・ 佐野先生への質問:訪問診療の受け入れと入院期間について 佐野先生 ・ ケースバイケース:抜歯と後義歯の新製まで2回入院で行なうこともあった ・ 長期入院になるとレセプト通らない→(オフレコ:リハビリ検査入院で長期入院の歯科治療行なうこと有り) ・ 補綴処置(歯科診療)のみの入院は認められない 別部先生 ・ 横浜市も試行錯誤の状態 司会 藤先生 ・ 八千代市の場合、観血処置は原則的に行なわないということで、受け入れ病院が遠い という問題があるわけですが、センターがあって連携しているところ等はないでしょうか? 杉並 山川先生 ・ 障害者医院(杉の木診療所:区が設置):歯科麻酔医専任管理医、特別委員12名で木または火曜日に診療(2ヶ月/年) ・ 診療所が家から遠いということが問題:患者の通院が困難 ・ →歯科医師会の上層部の考え方次第、予算の問題 ・ 現場は動いているのに歯科医師会が動かない、対応しきれない ・ 紹介先がありそこでの診療終了後は地域に戻すという方式が良い ・ 地域に戻す場合、紹介先に関するトラブルは?(歯科医師会の平等意識) 佐野先生 ・ 原則として患者さんの近医を紹介している(住所で決めている)、現在のところトラブルは無い、学閥には囚われない ・ 紹介のやり取りから信頼できる先生を選択することもある ・ 患者さんのいる前で電話にて依頼し、紹介状を書く ・ 遠い地区の方の場合はその地区に詳しい歯科医師会の役員の方に相談して決めている 司会 藤先生 ・ 在宅歯科診療には多くの問題がある ・ 観血処置の是非も問題 ・ 在宅診療の目的は口腔ケアと摂食嚥下の対応の問題が中心ではないか? ・ 歯科診療は精度の高いもの→歯科治療自体は病院で行なう方がいいのではないか?地域的な差も大きい問題では有るけれども… ・ 病院への搬送の問題がある→行政、家族、病院の負担 ・ 介護保険:医師、看護婦、保健婦との係わり:歯科麻酔医が中心になって 行なうべきではないか ・ 観血的処置についてはどうでしょうか? 別部先生 ・ 観血処置は本来なら清潔域で行うべきもの ・ 横浜では在宅で観血処置も行なっている(鶴見の口腔外科医) ・ 心筋梗塞や抗凝固剤の見逃し等のトラブルがある ・ 歯科麻酔医が忠告・助言している 佐野先生 ・ 患者さんが望んでいる場合(ほとんどが簡単な抜歯のはず)、簡単な抜歯は行なうべきではないか ・ 私の大学の口腔外科外来で、死亡した例はなかった ・ 患者さんとのラポールができていれば、ケースによっては抜歯は必要な処置 ・ 観血処置をやるかどうかは地域での差がある ・ 地域では、ドクターが侵襲の程度を考えて行なうべきではないか 古屋先生 ・ 同感です ・ しかし、歯科医師会員の各先生方に技術の差が有ることも事実 ・ 八千代市の在宅診療で2例の死亡例がある:歯科治療との因果関係は不明 ・ 女性、86歳くらい:全身管理下、抗生剤投与下に抜歯、Ext後OB、患者さん も喜んでいた(物が食べられる)、2週後に死亡 ・ 男性:高度肝機能障害の患者さん:Ext後に死亡、患者さんは満足していた ・結果的にご本人の満足が得られるなら観血処置を行なっても良いのではないか… 司会 藤先生 ・ 歯科麻酔認定医だということでハイリスクの患者を任されて苦慮している先生もいるようです ・ 医療圏の問題 ・ 後方支援病院の不足の問題 ・ 歯科麻酔認定医の役割は? ・ いろいろな問題があると思われますが、今後も在宅診療、病診連携について検討を続けていってもらいたい ・ 本日はありがとうございました 西村先生の謝辞