第3回「歯科麻酔を考える臨床医フォーラム」開催のご案内

さまざまな環境で活躍する歯科麻酔科医が、お互いの立場から広く意見を交換し会う場として生まれたこのフォーラムも、新潟での誕生から数えて早くも3回目となりました。

このフォーラムは、特別な組織・グループによって運営されているものではありません。開業している歯科麻酔科医たちの意見交換の場が欲しい、という自然発生的な要求に応える形で生まれたものです。が、それと同じかそれ以上に、大学におられて、これから開業などさまざまな形で社会に飛び込んでいく若い歯科麻酔科医たちのために、どのように役立っていけるか、というのが大きな目標であり、意義でもあります。ご参加やご発言に特別の資格が必要なわけではありません。私たちのフォーラムに参加下さって、歯科麻酔科医としての未来に明るい灯がともるような感想を抱いていただければ、と思っています。

皆さんのご参加をお待ちしています。

           「歯科麻酔を考える臨床医フォーラム」本年度担当幹事

                       別府孝洋(久留米市開業)

            フォーラム事務局長  望月 亮(清水市開業)     

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<第3回「歯科麻酔を考える臨床医フォーラム」開催予告>

      テーマ:開業医における歯科麻酔認定医の意義

      ----地域での認定医はどう生かされるか-----

日時:平成10年10月9日(金)

   第26回日本歯科麻酔学会総会(長崎)セッション終了後(17:00〜19:00)

場所:長崎市市民会館6階第5会場

進行:別府孝洋 (久留米市・べっぷ歯科医院)

基調講演:「歯科麻酔認定医を考える」

          城 茂治 先生 

          日本歯科麻酔学会認定医委員会委員長

          岩手医科大学歯学部歯科麻酔学講座 教授

指定発表:「歯科麻酔認定医は開業医にとってどのような意味を持つのか」

          篠塚 襄 先生

          篠塚歯科医院(千葉県佐原市)

指定発表:「開業歯科麻酔認定医の21世紀」

          伊藤 正夫 先生

          メデント歯科センター(名古屋市)

ディスカッション

      司会:緒方克也 (福岡市・おがた小児歯科医院)

 歯科麻酔認定医も制度が誕生して18年を経ました。その歴史のなかで多くの認定医が誕生し、その認定医は歯科医師としてさまざまな場面で活躍しています。一方、歯科医療現状はさまざまな医療制度改革の中にあって、21世紀へ向けた新たな展開が開かれようとしています。そして高齢社会に向けた歯科医療として訪問診療が注目され、わたしたち歯科麻酔認定医にとって存在価値の高い歯科医療が開けるかのような期待がありますが、現実は思うようなことばかりでもありません。

 わたしたち歯科麻酔認定医は、かかりつけの歯科医師として治療から予防と管理の時代にどのような歯科医療を提供できるのでしょうか。歯科麻酔認定医はウ蝕や歯周病の予防にどのような参加ができるのでしょうか。わたしたちが歯科麻酔認定医を論じるとき、手術室での仕事だけでなく開業歯科医としての仕事のなかに意味がなければなりません。しかし、全身麻酔や鎮静法だけが歯科麻酔認定医の役目とも思われません。歯科麻酔認定医とは地域医療のかかりつけ歯科医にとってどのような意味があるのでしょうか。その意味は今後どのような拡がりをもつのでしょうか。

 フォーラムでは幅広い視点から歯科麻酔認定医を論じてみたいと思います。もちろん結論を出すためのシンポジウムではありません。さまざまな見方や意見があることを知り、自らの視野を広げることが目的です。

 「開業医における・・・」と題しておりますが、開業医のみでなく、病診連携に取り組まれている大学や病院歯科の先生方、また将来開業を考えておられる先生方にも多数のご参加をお待ちしております。

【基調講演】

            歯科麻酔認定医を考える

                    第23回日本歯科麻酔学会認定委員長

                     岩手医科大学歯学部歯科麻酔学講座

                            城 茂治

この度、『開業医における歯科麻酔認定医の意義』と題して開催される第3回歯科麻酔を考える開業医フォーラムで本年度の認定委員長として学会が考える認定医像についてお話をする機会を得ました。学会の見解ですので可及的に私見を押さえてお話ししたいと考えておりますが、突っ込んだ話し合いになれば学会とは違った見解になるかもしれませんので、多少のことはご了承いただきたいと存じます。

今回、公表されている認定医像についての学会の見解を調べましたが、非常に少ないのに驚きました。Newsletterが発行されて、各年度の認定委員長が当該年度の認定医試験の状況を報告するようになりましたが、これとて学会の認定医制度に対する見解を述べるものではありません。このなかで、1977年の認定医発足当時、日本歯科医学会会報に当時大阪歯科大学歯科麻酔学講座教授であられた稲本晃現名誉会員が認定医制度の制定に至った経緯や将来像などをふまえ「日本歯科麻酔学会認定医制度発足の意義」と題した文を投稿されていました。この文によると発足当時の認定医制度の目標は、専門医の最低基準を十分に身につけた歯科医師を養成することでした。このレベルは専門医のジュニアレベルであり、直ちに専門医として読み替えるほどの歯科医師を期待していたものではなく、さらにハイレベルの指導医制度をおくことをすでに前提としていたことが分かります。また、発足当時から標榜科とのリンクも考えられており、歯科麻酔認定医が一定の専門的知識を持つことを期待して試験、試問が課されました。これは歯科と医科の卒前教育の違い、さらに医科の麻酔標榜医が書類審査のみであるためその実力は不明で、専門的知識に不足する者もいるという反省点に立った上での実施でした。時代の変遷と共に歯科麻酔認定医の目標も変化しつつありますし、発足以来20年余立った今も当初の目標であった標榜の問題も棚上げされた状態であり、前途多難であることは確かです。しかし、今後とも認定医制度をさらに充実させるためにも歯科麻酔科標榜に向け学会としては全力を注がなければなりません。そのための認定医制度発足であり、今回の制度改変であったと確信しています。

【指定発表】

    「歯科麻酔認定医は開業医にとってどのような意味を持つのか」

                     篠塚歯科医院(千葉県佐原市)

                       篠塚 襄

 歯科麻酔研修の成果は開業医にとってどのような意味を持つのであろうか。私ども歯科麻酔認定医は様々な地域、環境、価値観、方法で毎日の診療に従事しているが、歯科麻酔の知識や手技を医療サービスに、また歯科医師会等の活動に還元したいという点では共通の目的を持つ。しかしながらこれまで、歯科麻酔科医は歯科医療関連の従事者から出さえも、正当な理解、評価を受けていたとは言いがたい状況にあった。

これらをふまえ、『歯科麻酔を考える臨床医フォーラム』では過去2回、救急医療、開業歯科麻酔認定医の診療守備範囲等につき議論を重ねてきた。高齢者や有病者の治療頻度は高くなっており、我々が貢献できる場はますます増すことが予想される。現在、当医院で全身麻酔、痛みの治療は実施に至っていないが、これらのみで開業歯科麻酔認定医を論ずることも狭小であろう。これまで、地方の一開業歯科医師として在宅心身障害者歯科保健事業の開始、介護保険制度の実施に備えた高齢者ケアサービス体制整備検討会への参画、歯科救急時における高次医療機関への転送システム、薬剤、機材の整備を実施するなどし、機会をとらえては、歯科医師会を含め医療関係者、行政、地域住民に歯科麻酔医の存在をアピールしてきた。そこで今回は、私が開業するにあたり歯科麻酔科医の活動として掲げた目標達成の成否と、問題点につき考察したので報告する。論点がしぼられず、散漫になる感は否めないがこれを機に、本フォーラムの今後の展開を模索したい。諸先生方のご意見を賜れば幸いである。

【指定発表】

            「開業歯科麻酔認定医の21世紀」

                     メデント歯科センター(名古屋市)

                       伊藤 正夫 

 ひどい人は「ハイシャは大嫌いでして」などと診療室で言う。ハイシャと言う通称はもとより、当の本人を前に大嫌いと言うこと自体失礼である。演者は永年このような言葉に傷ついてきたが、一般社会通念上、歯科医師に対しては許されることのようである。いっぽう歯科医師も「ちょっと痛いですよ。」から「今この治療を受けないと、将来たいへんなことになりますよ。」まで脅迫的言辞を日常乱発しているのであるが、歯科医師と社会とのあやうい関係がここにある。われわれはもっと良好な関係を構築する必要に迫られている。市場の要求だからである。すなわちそれは忍耐を強いない、快適で安心できる歯科医療の構築に他ならない。

歯科インプラントや各種の歯周外科手術に見るように外来歯科治療の規模は益々拡大し、侵襲も強くなっている。したがって快適で安心できる歯科医療は、歯科麻酔学の知識の集積なくしては実現できないが、学問だけでは十分でない。現在局所浸潤麻酔用注射筒の多くは、吸引用のフックなしで販売されている。そして局所麻酔薬の急性中毒のみならず、治療規模の拡大に伴って極量投与の危険も増加している。例えばこれらを是正していくとすれば、一定の人数の専門医がフィールドやマーケットの中で活動を継続することが重要である。演者は本抄のなかで、日常の些細な問題を例示したが、これは開業歯科麻酔認定医が担わねばならない身近な役割であるからに他ならない。もちろん先端的な役割として障害者や老人、合併症を持つ人たちへの安全快適な歯科医療の提供、静脈内鎮静法や全身麻酔下の治療など要請される活動範囲は際限がない。口演では演者自身の診療スタイルを紹介するとともに、開業歯科麻酔認定医の役割について肯定的な立場から21世紀を眺望する。

<「フォーラム後懇親会」のお知らせ>

上記フォーラム終了後、フォーラム主催で懇親会を催します。要するにフォーラムの2次会です。

日時:平成10年10月9日(金)19:30〜

場所:慶華園(中華料理)(学会場からゆっくり歩いて5分)

会費:8,000円

この場でまず喉を潤してフォーラムでしゃべり足りなかったこと、ある先生への質問や意見交換など、存分に行っていただき、未消化のまま長崎を離れることのないよう、盛り上がりたいと思います。翌日(土曜日)は祝日です。是非多数ご参加下さい。

<「フォーラム控室」常設のお知らせ>

このフォーラムが行われる6階第5会場の隣の部屋に、フォーラム控室を常設することができました。ここには来られれば、フォーラムに関する問い合わせを承ります。また、パソコン(Mac Power book G3、ただしモバイルはできません)、プリンタ、コピー機、伝言板など、フォーラム準備業務に差し障りのない程度ならお使いいただけるようにしようかと考えております。皆さんのご来訪を歓迎します。

         第3回歯科麻酔を考える臨床医フォーラム 

    担当幹事 別府孝洋

    連絡先:〒839-0862 福岡県久留米市野中町328-7 べっぷ歯科医院

    TEL:0942-44-6268 FAX:0942-44-6271

    E-mail:FZB01011@nifty.ne.jp

  フォーラム事務局長 望月 亮

    連絡先:〒424-0837 静岡県清水市桜橋町2-1 望月歯科

    TEL&FAX:0543-65-6561

    E-mail:mako.mochizuki1@nifty.ne.jp