仙台市民会館大ホール


今年のブルース・カーニバルで来日したB.B.Kingの仙台での単独公演を簡単にリポートします。
いつの間にかB.B.も71才、いつも精力的にツアーをこなしステージではぐいぐいとバンドを引っ張っていく
あの元気な姿が今夜も見られるか少し心配ではありました。

会場脇の駐車場には山形や青森のナンバープレートも、
B.B.Kingの吸引力は距離を超えるんだ。
開演は午後6時30分、ほぼ満席状態。
20代から50代くらいまでの人達が満遍なくという感じでB.B.らしい客層です。
編成はホーンセクション3人にツインドラム、セカンド・ギター、キーボード、ベースという8人編成。
最初はこのバンドだけで軽く2曲流してから御大の登場、手を振りながら登場したB.B.は結構元気そうでした。
愛嬌たっぷりの仕草で、根っからのエンターティナーぶりは変わらない。

インストから始まった今夜の公演は、
やや堅めのアンサンブルでツインドラムが少々ウルサイ。
市民会館の音響もホーンにはソリッドすぎて、古い話ですが何だかシカゴが初来日したときの、耳が痛くなるP.A.を思い出した。
B.B.Kingも無難にこなすだけでつかみの部分ではいささかこの後の展開が心配になってきた。
しかしツボは押さえていて、ギターのフレーズも今夜は音数を控え渋くキメている。
一曲歌うだけで相当消耗するようで歌が少ない。
でも客席の反応は暖かい雰囲気で、けっこう盛り上がってる。がんばれオヤジという感じか。
自分のソロもやや控えめで、ベースや相棒のギターにたっぷりとソロをまわして体力温存に気を付けているのが解る。
数曲演奏したところでバンド全員と自分に椅子を持ってこさせて、
大汗を拭きながら「疲れた」を連発、ぐびぐびと水分を補給する様がまた絵になるのは存在感というやつか。
暖かい拍手が会場から惜しみなく贈られる。

印象に残った曲は
"ROCK ME"、"AIN'T NO BODY HOME"、とインストでやった"SUMMER TIME"、これは渋かった、また聴きたいくらいです。
ホーンが刺激的すぎたので私は途中ホーン抜きでやった数曲の方が気持ちよかったのですが、
連れはホーンを途中で抜いたのが気に入らないらしい、、この辺は人それぞれか。
"NOBODY LOVES ME BUT MY MOTHER"も良かったんですが、本当にこの曲だったか誰も覚えていないんでちょっと自信なし。

歌が少ないのが残念だったんですが、しかし歌うときは気合いを込めて手抜き無し。
この辺は感動させられた。プロ根性を見た思いがします。
終盤"THRILL IS GONE"のイントロで会場は大白熱。
もうラストなんだというのがB.B.の元気も倍増させるのか、ここへきてトシを忘れさせてくれた。
ギターのフレーズも淀みなく流れるようで、今までのどんなレコード、ビデオで聴いたこの曲のソロをも
超えたかと思わせる素晴らしいソロでした。もっと聴きたいと思ったところで終わってしまったのが
物足りなさを倍増、しかし1時間40分のパフォーマンス、これ以上は体に酷だというのは本人の方が承知しているみたいです。

全般的にギターは益々渋く、かえってうまくなったというのが連れを含めての感想。
余分な音は出さず、一音一音に魂を込めていたのが解る。
が、あきらかに時間稼ぎの曲も用意してあって、バンドに多くのソロをまわして繋いでいた。
相棒のギターはもとよりホーンのソロ、キーボードのソロ、ベースのソロ(これが一番多かった)
果てはツインドラム各々のソロ、、、これがせっかくのテンションを下げてしまう。
いたずらにインストやサイドメンのソロで時間を稼がないで、一時間なら一時間、
全力でパフォーマンスしてさっと引っ込む、このほうが後味が爽やかだという意見も出た。
しかし華も実もある71才!
これからも元気で頑張っていて欲しいです。


P.S. ぶる銀の陶守さんが今回のブルース・カーニバルのバディ・ガイを
ご覧になると言うのでぶる銀でのリポートが楽しみです。ぜひそちらもチェックしてみて下さい。
今回、シンガポールへの出張が入らなければインタビュー取れるところだったそうで惜しい話です。


--bluesboy 1997年5月22日記

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